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ひめじょおん女性部から 介護職場アミーユ支部の闘い

月刊『労働運動』34頁(0308号09/01)(2015/11/01)

ひめじょおん 女性部から
労働者の団結で職場の安全守る
―介護職場アミーユ支部の闘い―


中田宏美(東京北部ユニオン)
 練馬区の「介護付き有料老人ホームアミーユ光ヶ丘」の労働者から「熟練職員が施設長のパワハラで退職強要に追い込まれている」とユニオンへ相談されたのが昨年の春。明日は我が身ととらえ、東京北部ユニオン・アミーユ支部が結成されて1年半が経つ。
 退職強要については昨年12月に「施設長更迭」と会社から「本人に戻る意思があれば戻ってほしい」との謝罪文を勝ち取った。残念ながら当該は心身共にボロボロになって復職はしていないが、この闘いの中で、「組合とは」の知識もなかった支部長は「一人は微力でも束になればどんな相手でも勝てる」ことを確信し、アミーユ・メッセージ「資本と非和解」の徹底姿勢でその後の闘いを進めている。
 昨年10月からは「休憩室・更衣室のための居室一室提供」「休憩時間の確保」要求などの職場環境改善に向けて取り組んでいる。しかし、「個人記録と薬の居室管理」「時間差休憩」の変更強制で、職場の混乱と多忙化は極限状態となり、服薬事故やミスが増加している。
 100%近くの職員の「全てを元に戻せ」要求署名に対して、会社は「現状維持」と回答し、全く聞く耳をもたない状況にある。
 一方で、初の春闘要求(賃金一律アップや処遇改善加算金の支給など)に対して、8年ぶりの賃金・資格制度拡充として資格所有者の昇給などの回答を獲得し、組合を結成して職場の支援・団結で闘ってきた大きな成果となった。

闘ってきたから発せられた声明

 去る9月、介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」での「入居者連続死亡事故、職員による暴行・虐待」という一連の問題が大きくマスコミで取り上げられた。とかく事故が起きると原因をうやむやにし、労働者や末端管理者に責任を押しつける。
 東京北部ユニオンとアミーユ支部は、即刻「事故の一切の責任は会社にある」と声明を発することができた。これは動労千葉労働運動の教訓であり、職場闘争と11回に及ぶ団交を積み重ねてきたからこそ実現できたことだ。またマスコミからの取材を受け、介護労働者の実態・問題を訴える中で、さらに闘う主体が強化された。
 会社は利用者の安心・安全第一と豪語するが、アミーユ光ヶ丘の現場をみれば、薄っぺらな言葉・理念だけなのが歴然。人員不足で余裕もなく、眼も手も届かない環境では安全は成り立たたない。介護が「金儲けのための産業」となり、介護の知識や経験のない他産業の資本が儲けるために参入したことも、介護現場を劣悪にした大きな要因だ。
 今回、北部地域のアミーユ20施設を回って労働者へ声明ビラを渡しながら交流できたことは、命を預かる医療・介護労働者の団結と組織化へ向かう第一歩として風穴を開けた。
 必死に働いて現場を守り動かしているのは労働者だ。職場の安全は労働者が団結し労働組合を結成して、「安全よりも金儲け」の会社と闘って勝ち取る以外に道はない。これからも粘り強く頑張ろう。