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地平線住民も労働者も被曝してはいけない!原発再稼動阻止の声をすべての職場から上げよう宇都宮 理(愛媛県職労 執行委員長)

月刊『労働運動』34頁(0309号15/01)(2015/12/01)


地平線
住民も労働者も被曝してはいけない!
原発再稼動阻止の声をすべての職場から上げよう
宇都宮 理(愛媛県職労 執行委員長)

(写真 11・8愛媛県庁前集会)

 私たちは、3・11事故後、伊方原発はじめ全原発の再稼動阻止と即時廃炉を、組合の方針として改めて確認し、執行委員会や組合主催のえひめ労働学校での学習、毎週の原発再稼動に反対する県庁前金曜行動・毎月11日の伊方原発ゲート前集会・各団体の主催する地元・中央での大規模集会・3・11福島・郡山集会への参加等の取り組みを行ってきました。今回は、平行して行ってきた職員の安全衛生闘争としての取り組みを、紹介させていただきます。
 2011年7月14日、組合は最初の「原子力災害対策業務に関する申し入れ」を行い、①この業務は、職員の労働安全衛生が守られず、ただちに伊方原発を停止し、順次廃炉にするよう、四国電力に要請すること、②職員の放射線防護に必要な資機材を確保すること、③将来にわたる職員の健康・生命が保障されないような業務命令を行わないこと、以上3項目(文言略)を示し、団体交渉を求めました。当局は冒頭から「危険な職務命令は絶対に行わない」と改めて明言しましたが、「伊方原発の廃炉を要請するつもりはない」と、職員の安全対策の内容の追及にきちんと答えることはできませんでした。以降、定例の団体交渉においてやり取りを繰り返してきましたが、当局の姿勢は変わりませんでした。
 10月26日、愛媛県の中村知事は伊方原子力発電所3号機の再稼動に同意することを表明しました。組合は10月30日、再度要求書を提出して、原発廃炉を求める申し入れを行い、現在は回答待ちの状況です。
 「労働者の安全衛生」に関して、使用者は責任を回避できません。原子力災害対策業務においても、愛媛県当局は「危険な仕事は命令できない」と明言しています。使用者には「安全衛生配慮義務」があり、労働者の生命、身体等の安全を確保する義務があるからです(労働安全衛生法第25条)。
 原子力災害対策業務も、避難計画に関する業務も、放射線影響下では職務として命令できない業務であることは明らかです。職員の労働安全衛生の確保はもとより、原子力災害対策にあたる民間・公務の労働者、地域住民の安全の確保は不可欠です。今後の交渉内容を職場の課題として現場の仲間と力を合わせ、再稼動阻止、原発廃炉に向けて取り組んでいきたいと思います。
 今回の要求書を掲載した県職通信号外を、11・1労働者総決起集会、松山での伊方原発廃炉全国集会の両集会で配布し、「原発再稼動阻止の声を全ての職場から」と訴えました。
 11月8日には、再稼動のための防災訓練に反対し、金曜行動の仲間とともに緊急県庁前集会を呼びかけ、抗議の声を上げました。
 原発労働者や原子力災害対策に従事する労働者の労働安全衛生を突き詰めていけば、原発は廃炉にするしかありません。労働組合があれば労働組合で、労働組合がなければ組合を作り、自分の職場と地域の課題として被曝労働をなくす=原発廃止の声を上げていきましょう。