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JRへの新署名で本丸決戦へ!

月刊『労働運動』34頁(0312号03/06)(2016/03/01)


JRへの新署名で本丸決戦を闘い労働運動再生へ!


白井徹哉(国鉄闘争全国運動事務局長)

★国鉄改革法と敗北主義を打ち破り、本丸決戦へ

 7628人の国鉄労働者が不採用とされた1987年2月16日から29年、全国9カ所で国鉄集会を開催し、「JRに法的責任あり!」を高々と掲げJR資本に対して〈1047名解雇撤回・原職復帰〉を直接要求する署名運動を開始しました。
◎国鉄改革法が示す「JRに法的責任あり!」
 動労千葉の鉄建公団訴訟は昨年6月30日、最高裁判所をして〈不当労働行為意思のもとに不採用基準が策定された〉ことを明確に認めさせました。私たちは、全国で署名運動を展開し、職場や地域、街頭で訴え、全国の大変な努力によって昨年6月7日の全国集会の場で10万筆を達成しました。最高裁決定を強制した大きな力となりました。
 裁判では、JR設立委員長が不採用基準の策定を指示していた決定的証拠(暴かれた真実)を突き付けました。国鉄改革法23条第5項は、設立委員の行為は承継法人JRの行為であることを明記しています。国鉄改革法それ自身がJRに法的責任があることを示しているのです。
◎国鉄改革法は根本から崩壊
 私たちは「国鉄改革法は破綻した!」と声を大に宣言します。三十数年に及ぶ国鉄分割・民営化反対闘争における画期的な地平です。
 政府は一貫して〈国鉄分割・民営化の法的根拠は国鉄改革法である。この法の枠組みがある限り不当労働行為による解雇ではない〉としてきました。JR資本も「不当労働行為は旧国鉄が行ったことでJR各社に責任はない」と居直ってきました。
 最高裁判所は〈暴かれた真実〉について肯定も否定もできませんでした。裁判所として、不採
用基準の策定が不当労働行為であることを認めた上に、それを指示したのがJR設立委員長であることに言及すれば、国鉄改革法の規定によりJRに法的責任があることを認めるしかないからです。「言わぬは言うに勝る」という言葉がありますが、最高裁判所の沈黙こそ最も雄弁に国鉄改革法の破綻を語っているのです。
◎敗北主義を打ち破った
 強調したいことは、私たちは国鉄改革法を粉砕しただけでなく、国鉄改革法に対する拭いがたい敗北主義を決定的に打ち破ったことです。国鉄闘争の長い歴史において、国労本部は国鉄改革法を承認し(1999年)、さらに「JRに法的責任なし」の4党合意を受諾しました(02年)。さらに、解雇撤回で闘う組合員の除名画策や警察への売り渡しも行いました。
 2010年政治和解で4者4団体は、和解金と引き換えに謝罪も解雇撤回もないまますべての訴訟を取り下げました。雇用については「JRに法的責任なし」の03年最高裁判決を前提に「要請」でお茶を濁しました。一貫しているのは「国鉄改革法には勝てない」という敗北主義に基づく政治和解路線でした。
 国鉄分割・民営化反対闘争は、動労千葉の2波のストライキや国労修善寺大会、動労千葉の72時間ストと国鉄清算事業団による二度目の解雇―1047名闘争の開始、4党合意をめぐる攻防、鉄建公団訴訟開始と1047名連絡会、2010年政治和解など、動労千葉を先頭とした原則的闘いの継続と、政治和解路線による闘争幕引きの激突の歴史でした。
 国鉄闘争の栄光と苦難に満ちた闘いが「JRに法的責任なし」との攻防に費やされた歴史を考えたとき、29年を経て、再び「JRに法的責任あり」を真正面から掲げ、胸を張ってJR資本に対してストレートに闘いを展開する意義は形容しがたいほどの大きさがあるはずです。私たちは闘いの決定的な〝正統性〟と〝展望〟をつかんだのです。

★大転換情勢と闘い抜いて、労働運動の再生を

◎国鉄闘争こそ労働運動再生の基軸
 国鉄闘争の新たな闘いの使命は、新自由主義の出発点である国鉄分割・民営化が根本的に間違っていたことを全社会に暴き出し、闘うべき時期と課題に労働組合が決然と闘えば、労働者が団結して闘うことは可能であることを示すことです。
 新自由主義の崩壊が生み出す現実と矛盾の中に労働運動再生の可能性があります。国鉄分割・民営化以来の大転換的内外情勢と切り結び、新たな議論と行動を開始し、国鉄闘争を先頭に反撃を開始する時が来ました。
 国鉄闘争が生み出した正統性と展望こそ、職場の小さな可能性を職場闘争から団結―労働運動へと育て上げ、新自由主義と闘う階級的労働運動の奔流を生み出す中心軸の闘争です。全国の産別・職場・地域で倦まず弛まず労働運動再生の努力を開始する―これが新たな国鉄闘争の使命です。新自由主義の崩壊が生み出す職場の矛盾と格闘し、問題提起し、職場の仲間と議論し、闘争化する―こうした努力に持続的なエネルギーを与えるのが国鉄闘争です。
 JR職場では、分割・民営化以来四半世紀を超えて闘い抜いてきた動労千葉や動労水戸、動労総連合の闘いと団結が、端緒とはいえ青年労働者の決起を生みだしています。動労総連合―JR産別における階級的労働組合建設に向かっています。これが国鉄闘争の歴史的地平です。
 この構造をすべての産別・職場・地域に波及させていくことが新たな国鉄闘争の課題です。労働運動再生の努力は簡単なことではありません。だからこそ国鉄闘争の歴史的地平と底力が必要です。新たな国鉄闘争―新たな署名運動は、職場闘争―労働運動再生運動の推進エンジンです。職場における議論と闘いを実践しその成果を国鉄闘争とともに前進させていく闘いです。
◎分割・民営化以来の大転換
 国鉄闘争の新たな闘いは、安倍政権による派遣労働全面解禁や残業代ゼロ制度、金銭解雇制度など労働法制の大改悪、改憲・戦争など国鉄分割・民営化以来の大転換に対する闘いです。
 国鉄分割・民営化から29年、民営化と外注化、非正規職化が全社会を覆い、非正規労働者が4割を突破し、月10万円以下で生活する人が2千万人を超えました。社会保障や地域社会が崩壊の危機に瀕しています。軽井沢バス事故など深刻な安全崩壊が引き起こされています。
 アベノミクスの破局が始まる中で、安倍政権は暴力的に〝労働構造改革〟と改憲・戦争に突
き進んでいます。労働者階級の意識が一変し、根底からの怒りと行動力が解き放たれる時が来ています。歴史が動き出す時代の到来です。新たな国鉄闘争の正統性と展望がここに結合したとき労働運動を再生させ、時代を変化させるはずです。
◎最高裁署名を超える署名運動に
 最高裁署名を超える署名運動にしたいと考えています。6月には国鉄闘争全国運動の全国集会を計画しています。新署名運動の全国的な展開とJR職場での外注化阻止や被曝労働拒否の闘いを先頭に、国鉄闘争の新たな運動と運動体を拡大させよう。