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安倍政権に反撃を!6・5国鉄闘争全国運動集会へ

月刊『労働運動』34頁(0314号02/01)(2016/05/01)


安倍政権の改憲ー雇用・労働破壊に反撃を!
6・5国鉄闘争全国運動全国集会へ結集を!

●労働運動再生の正念場

 国鉄闘争全国運動は、6月5日に江戸川区総合文化センターで全国集会を開催します。
 国鉄闘争全国運動は、国鉄1047名解雇撤回闘争の絞殺を狙った2010年の政治和解に抗して、国鉄闘争を基軸に新自由主義と闘う労働運動の再生をめざして6年間闘ってきました。昨年6月最高裁決定でかちとった「JRに法的責任にあり」は、JRにストレートに解雇撤回を要求する闘いへと到達しました。国鉄1047名解雇撤回闘争はこれからが本番です。
 全国集会は7回目ですが、国鉄闘争を発展させ、国鉄1047名解雇撤回闘争と動労総連合建設の闘いを先頭に、安倍政権の雇用破壊・労働破壊へ反撃を開始し、労働運動再生へ向けた正念場の決戦を宣言したいと考えています。
 2013年末、安倍政権の産業競争力会議において労働政策研究・研修機構(JILPT)労使関係部門の総括研究員である濱口桂一郎は、今後の労働法制のあり方として〈ジョブ型雇用への転換〉を提唱しています。

●正社員ゼロ化攻撃

 濱口は、〈従来の正規雇用はどの器官にも使えるiPS細胞だが、ジョブ型雇用は使える器官が限定されており、職務が消滅すればそれは正当な解雇理由となり、欠員が出れば補充される「部品型労働力」〉と、部品型雇用への転換を提言しているのです。濱口は、労働契約法の解雇濫用規制法理について〈16条は解雇を規制しておらず解雇は原則可能であり、例外的に濫用が規制されているだけ〉と主張し、現在でも金銭解雇は可能だと強調、法律で金銭基準を設定するよう提案しています。
 濱口の主張は、安倍政権や財界の雇用破壊・労働破壊の本質の一面を鮮やかに示しています。いわゆる「解雇自由論」と比較すると良識的に議論しているようにみえますが、悪質な総非正規化を主張し、戦後労働運動がかちとってきた解雇濫用法理や整理解雇4要件などを転覆して、制度的体系的に総非正規化=正社員ゼロ化を行うべきだと主張しているのです。
 安倍政権は、「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」と、昨年の派遣法全面解禁をはじめ労働基準法を全面的に適用除外する雇用特区の創設、継続審議となっている労働時間規制の適用除外(残業代ゼロ法)や金銭解雇制度などをなり振り構わず強行しようとしています。
 労働法制の新自由主義的転換と合わせて、全ての産別・職場で雇用破壊・賃金破壊・労働破壊の大攻撃が始まっています。
 JRでは、千葉鉄道サービス(CTS)が、労働契約法18条に規定された有期雇用の無期転換制度を回避するために就業規則改悪を画策しています。動労千葉は3月ストライキを闘い抜き、各事業所でも怒りの声が大噴出して、CTSは職場で説明会を強行しても抗議や疑問に対応できない状況に陥り、4月1日の実施を断念しました。
 しかし、CTSは就業規則改悪を狙っています。JR東労組は、本部委員長・書記長や参院議員・田城らが乗り込み闘いの圧殺を狙っています。
 JRだけでなく郵政や自治体などあらゆる産別で「5年を超える前に解雇」の攻撃が吹きあれています。JP労組は3月中旬に郵政会社と「期間雇用社員の無期労働契約への転換取扱い1年半前倒し」で妥結しました。
その妥結内容は「無期雇用社員の労働条件は......直前の有期契約時の労働条件を引き継ぐ」となっています。現状の非正規雇用の賃金と労働条件のままで定年まで働けということです。郵政職場は民営化過程で非正規雇用を激増させ、現状では6割以上が非正規雇用です。無期転換をめぐる攻撃は郵政職場で激しく展開された非正規化攻撃を常態化・制度化するものです。
 公共民間や民間企業でも同様の攻撃が全国的に焦点化し、ストライキなどの反撃も始まっています。

●戦争と一体の労働政策大転換

 〈5年で無期転換〉も〈5年を超える前に解雇〉も共に、総非正規化―正規雇用ゼロ化攻撃として方向は同じです。
 2007年に制定された労働契約法は、戦後労働法体系と戦後的雇用のあり方を新自由主義的に抜本転換することを狙った法律です。濱口の主張をみても、正規雇用を転覆して、日本の労働者すべてを非正規に転換する超反動的構想の下で「雇止め解雇法理」「無期転換制度」も位置づけられているのです。
 さらに労働契約法の重大性は、就業規則の変更権の法制化とセットで「就業規則の労働契約に対する効力」を宣言し、明記したことにあります。「就業規則による不利益変更」問題は、労資の激しい攻防の焦点でした。従来の判例では「高度の必要性」となっていたのを「合理性」にトーンダウンさせ、法律として明記したことの反動的意図は明白です。さらに、「就業規則の労働契約に対する効力」を規定したことにより、裁判や労働委員会などで労働条件の不利益変更を容認する合理性がないとされても、変更後に採用された労働者には労働契約の内容が可能となる法的構成になっているのです。
 そもそも労働契約法は、第一次安倍政権が「労働法制の抜本的見直し」との位置づけで労働国会と銘打って準備した法律です(制定時は福田政権)。2012年に政権を奪回した安倍政権は、労働法制の大転換を狙っていますが、2008年リーマン・ショックをはさみ進行する危機性は、第一次政権のときとは比較になりません。
 今日の内外情勢を考える時、安倍の「世界で一番企業が活躍しやすい国」路線は、戦前の日本が労働者の超低賃金に依拠して国際競争を展開(ソーシャル・ダンピング=飢餓輸出と呼ばれた)したことをより危機的な形で想起させます。安倍政権の雇用破壊・労働破壊は、改憲と戦争と完全に直結する問題です。
 これと対決して日本労働運動を再生させる闘いは、戦争の道を阻止する闘いそのものです。社会保障崩壊や896自治体消滅、人口減......社会崩壊・社会停止の危機が激烈に進行する中で、安倍政権の〈外への侵略戦争と内への階級戦争〉と対決し、労働者の団結を回復し、労働運動の反撃を開始するときです。

●ストライキが巻き起こる情勢

 全国各地でストライキなど労働運動再生の兆候をはっきりと感じます。労働者階級は、職場生産点で闘いを開始し、団結する以外に主体性を回復する道はありません。闘いが各所で始まっていることは、階級情勢の転換を示しています。情勢が示すのは、敵の攻撃の激しさだけではなく、危機の深化と流動化であり、労働者階級の意識転換です。労働運動再生は完全に可能です。なによりも四半世紀を超えて闘われてきた国鉄闘争が決定的です。国鉄闘争の勝利の地平は、必ず労働者の新たな決起と団結を生み出します。
 情勢は主客ともに流動・転換情勢であり、私たちの挑戦も正念場です。新署名運動―国鉄闘争を水路に、職場生産点の闘いを発展させ、職場・地域の団結をつくりだそう。6・5全国集会への大結集を訴えます。