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全金本山ストライキ 再雇用・雇止めと闘うぞ! 全国から50数名結集

月刊『労働運動』34頁(0320号07/01)(2016/11/01)


※ 全金本山のストライキ ※
再雇用・雇止めを突き抜けて闘うぞ! 全国から 50数名の結集で 10・11ストうち抜く!

 さわやかな秋晴れのもと、10月11日の朝の行動が始まった。午前7時45分頃から工場の建屋の入り口ドア3か所に立って、出勤してくる労働者に「おはよう」の声掛けをして朝ビラ「とりで」を手渡す。労働者は挨拶をしながら受け取っていく。ビラを受け取っていく管理職もいる。鈴木委員長のハンドマイクによるアジテーションは、静かな工場内に鳴り響く。全金本山の団結した力が工場内を制圧していることを印象付ける。

◆34年の激闘に勝利、11年余の職場闘争にも勝利

 本山製作所は、34年の組合つぶしの攻撃に明け暮れた揚げ句に債務超過の経営危機に陥り、ついに「解雇撤回・原職奪還」の闘いの前に白旗を掲げ、05年3月全金本山労組員は職場復帰した。そして、07年には栗本鐵工所に企業譲渡し、本山一族は会社から姿を消した。
 全金本山労組は、職場復帰してから構内に組合旗を掲揚し続け、月に2~3回の朝ビラまきを行い、工場内に鳴り響くマイク情宣を行ってきた。差別賃金の是正、冷暖房施設の改善、非正規の正社員化要求を掲げ、非正規・時間外割増率の正規職と同率化、一服休憩20~30分の定着化、新入社員教育で全金本山労組を攻撃するビデオ上映の不当労働行為摘発・会社の謝罪等々、多くの成果を勝ち取り、JAM労働者に対して、「闘う労働組合ここにあり」とアピールし、「全金本山に入ろう、ともに闘おう」と訴えかけてきた。

◆12波、23時間余のストライキ

 製造現場における午前10時と午後3時の一服休憩を慣行として定着させてきた。それを、会社は今年1月から一方的に「廃止する」と通告。我々は、直ちにストライキで「白紙撤回」を要求している。併せて、鈴木組合員の労災後遺症に対する企業補償を要求し、16年春闘のストライキを闘い抜いてきた。本山製作所の全従業員は278人で、大衡工場では220人前後が働いている。ビラはそのうちの過半数が受け取っている。
 前夜から仙台入りした小野東京分会長、支援の仲間が組合員の車で工場に入り、一緒にビラまきにも参加。午前9時、当該組合員10名と東京、千葉、宇都宮、福島、秋田、そして宮城県内からかけつけた支援の仲間が、3時間のストライキに入った鈴木組合員を大きな拍手で出迎えた。鈴木委員長は、9時ストライキ突入と同時に、作業服の上から黄色いゼッケンをつけて工場内を歩いて出てきた。委員長は、自信に満ちた笑みを浮かべて手を振りながら応える。この日のストライキは、1月から通算すると12波23時間20分を数える。
 全員で、「一服休憩の廃止を撤回しろ!」「労災後遺症の補償を正社員と同じ補償にしろ!」「一人の首切りも許さないぞ!」「全金本山闘争に勝利したぞ!」「11年余の職場闘争に勝利したぞ!」「新たなステージに決起するぞ!」とシュプレヒコールを会社側にたたきつけ構内集会に移った。

◆全金本山労組の看板を掲げ続ける

 冒頭、挨拶に立った鈴木委員長は、「今年1月からのストライキで労働者の生きざま、労働組合とは何なのかをJAMの労働者に示してきた。全金組合員にとってようやく労働の強制から離れられる。うれしい。これからは生きているだけで丸儲け。長生きして頑張りたい」「組合としては、34年間争議を闘い抜き、職場復帰して11年半、今も労使間の問題案件が残っている。解決まで闘い抜く決意だ。組合も頑張るんだから会社は付き合えよということだ。雇止めになったからもう終わりということはない。全金本山労組の看板を掲げ続けていく」と決意を語った。

◆32年間閉ざされた門の中での集会に感動

 結集した仲間からの発言の初めに、73年当時から本山闘争に参加してきた元・東洋エンジニアリング(本山のユーザー)労組書記長であり、動労千葉を支援する会の仲間は、「32年のロックアウト下において、何度も門前闘争に参加して闘い抜いてきたが、私たちをかたくなに拒んできた本山製作所の鉄の門は、開けることの困難な門だといつも感じていた。しかし、今日のこの光景は、その門を何事もなく入り、そして、大勢の仲間とともに組合集会を工場内で行っている。工場を占拠・制圧している。これは、全金本山闘争の勝利の地平を表している」と感慨深くストライキ闘争に参加した感動の思いを語った。
 続いて、動労千葉の仲間は、「全金本山の闘いに支えられて私たちは闘い抜くことができた。国鉄分割・民営化の闘いは不当労働行為を確定させ、JR復帰を勝ち取るまで闘う。JRの外注化攻防を勝ち抜く。ゼネストと国際連帯で戦争を止めよう。11月国際連帯・共同行動の集会に結集を」と訴えた。
 72年12月のロックアウト攻撃以降、支援共闘組織を立ち上げ日常的に闘いを支えてくれた東京都庁職の仲間、中央千代田地区の仲間は、支援活動が長い期間だったがゆえに感慨深げに勝利感をかみしめた発言が印象的だった。
 福島労組交流センターや福島診療所の仲間は11名が参加し、福島第一原発事故による175人の小児甲状腺がんの発症、深刻な被ばくの強制、高線量地域への帰還の強制を弾劾する発言が胸を打った。被ばく・帰還を強制する12月 10日の常磐線仙台~小高間開通反対の闘いへの結集を訴えた。
 国労秋田闘争団の仲間は、国鉄分割・民営化攻撃で、「国労を脱退したら採用する」とした採用差別に怒りを燃やして闘い続けた一方、首を切ら入れた組合員を国労本部が組合員資格をはく奪するという仕打ちを弾劾し、「全金本山が全国金属からの除名処分に抗して闘い抜いて勝利したことに学んでこれからも闘い抜く」と決意を語り、動労総連合の結成へと踏み出すことを明らかにした。
 栃木の金属の仲間、宮城県内からは20名が結集し、宮城労組交流センター、みやぎ連帯ユニオン、東北大学生自治会などから力強い発言が続いた。三多摩労組交流センターから檄布が寄せられ、金属懇談会、動労千葉田中委員長、新潟地域一般労組から激励のメッセージが寄せられた。最後に、小野東京分会長が決意を表明した。
 この日のストライキ行動は、会社側から警告などの妨害は全くない中で、終始戦闘的で熱気あふれ、解放感に満ちた集会として勝ち取られた。昼休みに食堂にむかう労働者に、シュプレヒコールを上げて、「ともに闘おう、全金本山に結集しよう」とアピールを発して、全体の行動を終えた。
 長谷武志(全金本山労組副委員長)