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11月「東京―ソウル国際共同行動」報告 【労働者集会の総括】労働者が団結して闘うことに展望

月刊『労働運動』34頁(0321号02/08)(2016/12/01)


11月「東京―ソウル国際共同行動」報告
【2016年11・6労働者集会の総括】
労働者が団結して闘うことに展望を示すことが私たちの使命

国際連帯と国鉄闘争の重要性

 日韓4労組の呼びかけで東京―ソウル国際共同行動として闘われた今年の11・6労働者集会は、激動の韓国情勢の中で歴史的な闘争となりました。今年の11・6労働者集会は、昨年をこえる求心力・結集を実現しました。国際連帯と国鉄闘争の重要性をあらためて確認することができました。
 何よりも日韓激動情勢の中で一連の闘いを民主労総と共に闘い抜いたことです。2008年リーマンショック以来の大恐慌の進展は、資本主義の世界支配に重大な危機をもたらしています。ギリシャ・欧州―中東情勢を超えるかたちで韓国(朝鮮半島―東アジア)の経済的・政治的な危機を爆発させつつあります。とりわけ重要なのは、民主労総の存在と闘いによって、この支配の危機が明確な階級闘争として発展していることです。

一国の労働者階級が団結して闘うことは可能だと示した

 韓進(ハンジン)海運の経営破綻やロッテ不正資金問題など、韓国の財閥企業が軒並み危機に陥っています。パククネ政権はあらゆる公的部門を民営化(鉄道公社の分割・民営化が核心だ!)し、成果年俸制などの労働大改悪を強行しようとしています。韓国の支配階級にとって最大の焦点は民主労総を解体することにあります。
 民主労総の偉大さは、こういう情勢に対して多数の指導部を獄中に奪われてもなお、80万組合員を団結させてゼネストで闘い抜いていることです。数十年来の新自由主義による労組破壊を中核とした攻撃に対して、ナショナルセンターが80万人という規模で団結を維持しながら正面から闘い抜いた歴史はありません。
 この間の民主労総の闘いは、新自由主義の「内への階級戦争」に対して、一国の労働者階級が全体として団結して闘い抜くことは可能だということを示しています。民主労総は、数十年来の国際階級闘争を完全に転換させる意義を持っています。
 このことは、日本において国鉄分割・民営化攻撃に対して、総評・社会党指導部(あるいは内外の諸潮流)が白旗を掲げて一戦も闘わずして解体されていった歴史とは、まったく違う歴史がありえたことを示しています。同時に、動労千葉が組合員1000人の団結を 守って2波のストライキを闘い抜き、今もなお団結を維持していることが、民主労総ソウル地域本部や韓国鉄道労組との国際連帯の原動力となっているのです。
 韓国階級闘争を牽引する民主労総の存在は、一朝一夕で生まれたわけではありません。戦後の米軍政から朝鮮戦争に向かう過程で韓国労働者階級は壊滅的な打撃を受け、その後の軍事独裁政権下では労働者の階級的な組織は許されませんでした。1970年のチョンテイルの決起以降に生まれたわずかな民主労組は地下底流のように生き延び、1987年の労働者大闘争を経て、1995年の民主労総の結成につながっていきます。
 今回、日本の地で民主労総に続く闘いをつくり出すことを決意する中で、あらためて11月労働者集会の大切な意義を教えてもらいました。関西生コン支部・港合同・動労千葉の3労組は、数十年に及ぶ新自由主義の攻撃を打ち破って階級的団結を守り抜き、国鉄闘争を旗印に「闘う労働組合の全国ネットワークを」と呼びかけてきました。3労組と国鉄闘争の存在、そしてこれを先頭とした全国での努力は、必ず日本における階級的労働運動再生の決定的土台となるはずです。11月労働者集会運動は、日本において民主労総のような階級的労働運動のナショナルセンターをつくる、かけがえのない運動です。

戦争と労働大改悪が全世界の労働者の課題

 11・6労働者集会は、安倍政権の「働き方改革」、小池都知事の東京都丸ごと民営化との闘いを宣言する場となりました。
 安倍政権の「働き方改革」は、一つには戦後労働法制の全面的・原理的な転換を 狙う攻撃です。その土台となっている労働契約法(07年制定)は、労働条件の最低条件(基準)を集団的に規制する労働基準法や、集団的労使関係法である労働組合法などとは原理的に異質な法律です。労働契約法は、すべての労働条件を個別労働契約に還元し、もし異議や不服があれば、個別労働紛争解決制度や労働審判、最終的には裁判で個別的に解決せよとするものです。
 労働契約法は未完の法律で(制定時に「小さく産んで大きく育てる」と言われた)、採用から退職までの労働条件の全領域について、個別労働条件(契約)を規制する法律として労働基準法を凌駕(りょうが)する法律に仕立て上げることが狙われています。現在問題になっている解雇の金銭解決制度なども実は労働契約法に加えることが制定時にも議論されています。労働契約法は、現時点でもすでに重大な有期雇用ルール(非正規雇用の制度化)や就業規則の万能化などが盛り込まれています。
 出向命令権も簡素な条文ですがすでに条文化されています。企業再編・分社化・転籍などに伴う条文は、さらに本格化に規定されることが予想されます。外注化・分社化・転籍との闘いとも連動する問題です。
 他方で、残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)など労働時間規制の適用除外など、あの手この手で労働基準法の適用を規制緩和・適用除外して、労働条件の全領域について、集団的な決定から個別的決定へと転換させる動きも強まります。ひとことで言えば、労働条件の集団的決定を解体し、労働者が団結して闘うことそのものを粉砕す ることを狙った攻撃です。
 安倍政権の「働き方改革」―労働法制の原理的転換に対して、何よりも必要なのは労働者が団結して闘うことを甦らせることです。そこを土台に据えて労働法制改悪反対の闘いも取り組む必要があります。まったく同様の攻撃が仕掛けられている韓国においては民主労総がゼネストで闘い抜き、それが民営化や競争反対の巨大な世論を生みだし、いまパククネ打倒の全人民的な闘いを組織しています。
 小池都政は「オリンピックと豊洲にケリをつけて本丸に迫る」(上山『文藝春秋』12月号)と宣言しています。都営交通(地下鉄・バス)を焦点とした都政丸ごと民営化と都労連解体攻撃をめぐる攻防です。11月労働者集会運動にとって国鉄闘争と並ぶ位置づけで闘うべき課題です。
 一連の闘いを通して、戦争と労働大改悪が全世界の労働者の課題になっていることが確認されました。労働者が団結して闘うことに展望を示すこと、何よりもこれが私たちの使命です。来年の11月労働者集会は20回目の開催となります。向こう1年間、職場・地域に闘う団結と労働組合をつくりだすことに全力を尽くしたいと思います。
 (国鉄闘争全国運動事務局)