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下水道民間委託絶対反対の闘い

月刊『労働運動』34頁(0329号07/01)(2017/08/01)


下水道民間委託絶対反対の闘いが、清掃非正規の解雇を許さない闘いへと団結が拡大

吉谷 宏子(奈良市従業員労働組合)

 1年以上阻止しつづけてきた奈良市下水道民間委託・不当配転が5月1日に強行されて、はや3か月が経とうとしています。団結した闘いの中で委託を迎え撃つことで、あきらめや絶望ではなく、未来に向かった反撃がただちに開始されています。
 今年2月に提訴した「義務付け訴訟」はますます決定的な位置になっています。不当配転されたとはいえ、団結の力で解雇を阻止し「任用された」ことにより、裁判の中身はどうなるのかと悩んできました。ここはやっぱり原点である「義務付け訴訟にこだわって、行政は彼らを下水道職場で任用する義務がある」と筋を貫いて闘っていきたいと、決意を新たにしています。
 また、当局は「下水と土木は似たような仕事。だから職種変更ではないし、不当配転ではない」と主張しています。このことへの怒りはさらに高まっています。当局はどれほど現場労働者をなめきっているのか! 現場の仕事を知らないということです! 住民の家に行って、詰まった地下の配水管の最終桝の汚物を除去する業務と、地上の土砂・倒木撤去や道路の側溝の維持・管理では、資格も機械・道具も違います。どちらもそれぞれに経験と熟練の中で鍛えられながら覚えてきた仕事です。現業労働運動の闘いの中で、簡単に配置転換させない力関係をつくって住民の安全を守ってきたのです。
 今回の「異動」は、下水道の民間委託がどれほどの矛盾と安全崩壊をもたらすかを、現場労働者の誇りにかけて訴えた存在に対し、あきらめさせ、なきものにしようとする不当配転です。当局は、ただちに撤回するべきです!
 また、下水攻防が激しくなっている真っただ中で、突然、清掃非正規の仲間の解雇攻撃が起きました。当該女性は市従組合に相談に来られましたが、なんと市従本部が組合加入を拒否しました。前代未聞のことです。
 目の前の解雇に対して、私達にもさらなる飛躍が問われました。「忙しいから」と、この攻撃をスルーして下水道攻防に勝ち抜くことなどできません。階級闘争はこのような決戦につぐ決戦の中で鍛え抜かれるのだと、改めて思いました。
 関西合同労組に加入して闘うことも全く新たな挑戦です! 実際に行動すればするほど、様々なことが見えてきました。当局に対して組合通告し、団交申し入れをしました。この時、彼女ら一部の職員にだけ、意図的に解雇を正当化する8項目のチェックシートの存在が暴露されました。ありえない! こんなことがまかり通れば、奈良市2000人の非正規公務員はいつでもどんな理由でも解雇でき、「任用だから説明する必要ない」とされてしまうのです。
 私達が当局回答書に対する質問をするために清掃職場に行ったら、今度は当局は態度を一変させ、「非正規公務員の任用は管理運営事項。一切答えません」の不誠実な対応でした。さらに「退去してください」の看板。私達をビデオでとり、挙句の果てに警察を呼びました。本当に許せないことです。これまで一緒に働いてきた上司が手のひらを返したように切って捨てる対応に、怒りでいっぱいになりました。
 また、環境部長による「許可のないビラまきは禁止」の看板が清掃職場のあちこちにはられました。これは何十年も清掃労働者が積み上げてきた労働運動を否定する行為です。
 私達がビラをまいていたら、あろうことか、組合幹部が「部長(当局)に許可をもらってまいているのか」と怒鳴ってきました。当局と労働組合が一体となって、本気で闘うものに襲い掛かってくる構造がハッキリしたのです。
 今後、下水道民間委託絶対反対の闘いが、清掃非正規の解雇を許さない闘いへと団結は拡大し、ますます攻防は激しくなっていくのは確実です。
 ここで、強く訴えたいのは、奈良市従の攻防と、東交の攻防は同じだということです。
 奈良市従と関西合同労組が同じ奈良市で働く労働者を組織していく闘いは、初めての挑戦であると同時に、極めて戦略的な闘いです。
 今回の東京都議選で挑戦した闘いは決定的です。都庁議事堂レストラン非正規の仲間の解雇を許さない闘いと、東交、さらに動労東京八潮支部が一体となって闘う挑戦を開始しました。その中で、東交幹部が敵対してくることが起きました。特に、都庁非正規の仲間の解雇撤回の闘いや動労千葉物販の闘いを妨害してくる行為はあいまいにできません!
 私達の闘いで、当局の手先となって現場労働者を裏切っているのは体制内幹部だということを明らかにしていきましょう!この闘いの中で、本当の団結を生み出し、私達こそが責任勢力として労働組合権力を奪取する闘いに大胆に入っていきましょう!
 関西では、大阪市職員労働組合の委員長選挙の闘いに突入しています。大阪市下水道の民営化―転籍攻撃につづき、次は大阪地下鉄・バスの民営化と転籍攻撃が現場で激しく始まっています。これはJR東日本の分社化―転籍攻撃と同じです。9月9日には、大阪市で民営化絶対反対の集会を開催する予定です。
 都議選の中で、われわれの絶対反対の闘いから、ついに労働者階級の「安倍を監獄へ!」の怒りに火がつきました! 「共謀罪」法の施行が強行され、朝鮮への戦争と組合つぶしがますます本格化します。まさに倒すか倒されるかの時代です。この団結の旗をもって大胆に闘えば、必ず勝利できます! みなさん、共に闘っていきましょう!