日教組大会の報告
教育労働者は、改憲阻止、「働き方改革」粉砕、連合打倒の先頭に立とう!
米山 良江(全国労組交流センター教育労働者部会)
7月15~16日日教組第106回定期大会が日本教育会館で開かれた。首都圏の教育労働者部会は「『働き方改革』粉砕!現場にこそ闘う力がある!改憲阻止・安倍打倒に総決起を」の横断幕を掲げて会場前に登場し、部会ビラと『前進』を配布し、情宣活動を行った。
驚くべきことに大会議案には、「森友・加計」問題への言及が一切ない。これこそが95年の「参加・提言・改革」路線の行き着いた姿である。民営化、規制緩和、国家戦略特区を使って莫大な公金を不正使用し、「教育勅語」復活を策している安倍政権への抗議が一言もない。2006年に教育基本法を改悪し、新自由主義「教育改革」に突き進んでいる安倍への弾劾が皆無なのだ。委員長挨拶、大会宣言、特別決議もしかり。これが「教え子を再び戦場に送るな」の旗を今も掲げている日教組中央の現実である。日教組方針を徹底弾劾し、職場から闘う日教組をよみがえらせよう。
●日教組の改憲勢力化を許すな
①「働き方改革」賛美は裏切りだ
日教組本部は「学校現場にも『働き方改革』の風を!」の大キャンペーンを始めた。これは、安倍の「働き方改革」攻撃への屈服である。「労基法改正は、長時間労働解消の絶好の機会。給特法(※)の廃止を含む見直しの検討が必要」と全く転倒した主張をしている。そして大会で委員長は、連合幹部に「政府への働きかけを強めていただく」と発言したのだ。
②非正規職配置に加担
何故学校現場に非正規職が増えているのか? 2001年の義務標準法の改定、2004年の総額裁量制という規制緩和政策と、日教組本部が「定数改善」要求の中で、非正規職の配置を受け入れてきたからだ。文科省と日教組が一体となったから学校現場に非正規職が激増したのだ。
安倍政権の下、「学校業務の適正化」を叫んで、教育労働が細分化されていることも非正規職激増の要因だ。これは、JRの外注化・分社化と同じ考え方である。
日教組本部は2016年4月に臨時・非常勤教職員全国協議会を設置したが、それは「処遇改善・雇用安定」の要求運動でしかなく、非正規職化に反対ではない。
③「人事評価制度」は最大の分断攻撃
人事評価制度こそ、多忙化、職場の団結破壊、組合つぶしの攻撃だ。この制度こそ、長時間労働、パワハラ、病休者・精神疾患の激増の最大の原因である。職場に競争を持ち込み、協働性を破壊し、教育の共同性を奪ってきたのがこの制度である。
ところが議案書には「人事評価制度については、5原則2要件の確保とその制度化を強く求める」と制度そのものは容認である。
●非正規職撤廃で、労働組合を取り戻そう
①戦争絶対反対は日教組運動の原点
「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンは、1951年朝鮮戦争のさなか日教組中央委員会で採択された。そして先輩たちは、「勤評(勤務評定)は戦争への一里塚」をスローガンに、勤評導入絶対反対でストライキで闘った。逮捕265人、起訴108人、解雇70人に上る大弾圧を打ち破って堂々と闘い、労働者としての誇りと団結を守り抜いた。
自民党政権や右翼に恐れられてきたのは、日教組が戦争絶対反対でストライキを闘った労働組合だからだ。戦争切迫情勢の今こそ、ストライキで闘う日教組をよみがえらせよう。
②評価制度絶対反対で団結をとりもどそう
いじめ、学力遅れ、不登校、自殺、学級崩壊など、新自由主義がつくり出した社会の崩壊の中で、学校現場には様々な形で矛盾が噴き出している。これらの問題は、教員個人の力で「解決」することなどおよそ不可能だ。ところが評価制度は、それを個人の「指導力=能力・適性}の問題にして評価するのだ。最悪の分断攻撃、教育破壊の攻撃である。「自己責任」論という能力主義を打ち破って、教育労働者としての誇りと団結をとりもどそう。
③正規・非正規の団結を職場からつくり出そう
同じ労働をしていても、非正規雇用故に賃金はじめ労働条件が全く違う、あらゆる場面で差別され、簡単にクビを切られる、こんな理不尽を労働者として絶対に受け入れてはならない。
非正規職撤廃!の路線で、職場闘争をつくり出そう。「教育労働者の労働条件=子どもの教育環境」を肝に銘じ、「絶対反対!団結勝利!」を貫いて、正規・非正規の団結で、教組拠点を建設しよう。
※給特法 4%の教職調整額を一律に支給する代わりに、教育労働者を労基法の36、37条から適用除外にする法律。教育労働者が労働者として残業代を要求することは許さないという「聖職化」攻撃でもあった。