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闘う合同一般労組 群馬バスの組合つぶしをぶっとばし、ゼネストへ

月刊『労働運動』34頁(0330号08/01)(2017/09/01)


闘う合同一般労組
群馬バスの組合つぶしをぶっとばし、ゼネストへ!

清水 彰二(群馬合同労働組合執行委員長)

 群馬合同労組は7月23日、第12回定期大会を開催した。中央タクシー分会の労働委員会祝勝懇親会もかねて、関東圏のたくさんの仲間も交えた総勢46人の結集で大成功した。群馬合同労組の職場闘争を軸にした闘いは、青年をも獲得し始めている。

※群馬バス分会の3人の決起

 この一年の画期をなすのが群馬バス分会の闘いである。去年の大会にはまだなかった分会だ。
 新自由主義の30年は、地方のバス労働者にとって、苦しみの連続だった。地方切り捨てとモータリゼーションという車優先社会の進行。地方公共交通は衰退の一途、倒産や分社化という形で労働者に対する団結破壊が吹き荒れた。戦闘的にストライキで対決した労働組合もいくつもあった。しかし国鉄分割・民営化攻撃の中で、動労が裏切り、国労が屈服し、地区労が闘いを放棄する中で、分断され、個別に闘いをつぶされた。また国鉄分割・民営化は、国家が地方(公共交通)を切り捨てていく宣言であり、弱肉強食、弱いものはつぶれてしまえ、すべては自己責任と宣言するものだった。
 群馬バス株式会社は、東急資本の傘下にあり、戦後の群馬のバス事業復興の中心的企業であった。しかし2001年、経営悪化で東急が事業を整理して撤退。それにかわって設立された現在の株式会社群馬バスは、最初から運転手を6か月単位の契約社員として雇用し、組合もゼロスタートだと、最初から団結破壊と首切りから始まったブラック企業である。
 2015年8月、群馬バスは運転手を無期雇用の正社員に転換した。ところがこの無期雇用の正社員化は、賃下げを条件とするものだった。そしてこれを会社とグルになって強制したのが、私鉄総連の群馬バス労働組合である。
 6月に新規加入したT組合員は、それには同意できないと、当時唯一拒否した。当然だ。しかし会社は、報復的にTさんへの運転はずし、乗合から貸切への強制配転、手当カットなど、嫌がらせといじめを行った。
 O組合員は、なかば強制的に同意させられた。その上、さらにパワハラと追い出しを受けた。たくさんの仲間が悔しい思いを胸に、職場を去っていった。
 群馬バス分会の3人の仲間の決起は、まさに待ち望まれた決起である。それは全国のバス労働者の怒りがついに国鉄闘争を闘う労働組合と結合し始めたということだ。

※劣悪な労働条件

 群馬バスでは、正社員化の際に変更契約しなかった労働者の時給は800円だ。現在の群馬県の最低賃金は759円だ。おまけにハンドルを握っていない待機時間は「中休」といって原則休憩時間扱い、賃金は手当として半分を払うだけだ。時給800円なら400円になってしまう。さらに、自分がどれだけのハンドル時間なのか、待機時間がどれだけなのか、これを労働者は知らされていない。乗合の場合、ダイヤごとに設定した時間を、会社は機密情報として群馬合同労組にはひた隠しにしている。誰も自分の賃金計算ができない。
 36協定で決めた時間外労働の上限は月80時間。これでも過労死水準であるが、群馬バスはさらに待機時間を2分の1にしてしまうやり方、さらに待機時間が2時間をこえる場合は「解放」と称して拘束時間からはずしてしまうやり方などで、労働者に法外な拘束時間を強制している。しかし労働者は低賃金故に休日労働もやらざるをえない。まさに地獄である。
 昨年12月4日、川崎臨港バス労働組合が24時間のストライキを行った。これもやはり待機時間を悪用した、新しい体系に対するやむにやまれぬ闘いだった。労働者は怒っているし、闘う力ももっている。まさに問われているのは労働組合の闘いとゼネストなのだ。
 待機時間=「中休」は、労働時間に決まっている。終点で客を降ろして、次の始発までの間は、勝手に運転席を離れるわけにはいかないのだ。バスを移動させなければいけないし、客にも対応しなければいけない。これは中央タクシーとも同じ問題である。
※御用組合との闘い
 まさにこういう問題を具体的に闘う労働組合が必要である。群馬バスには、私鉄総連加盟の、会社とユニオンショップ協定をむすぶ群馬バス労働組合がある。新会社設立の際には、組合つぶしをうけて労働委員会でも闘ったはずが、和解と同時に労使一体の御用組合になってしまった。また国労高崎が組織する合同労組「交通ユニオン」の分会がある。これも労働委員会で闘ったが和解して、いまや群馬合同労組つぶしに与しているありさまだ。国鉄(JR)で起こったことと同じことが起こっている。

※組合つぶし攻撃との闘い

 現在、群馬バス分会の闘いは、毎日が激しいやり合いである。
 3月15日、始業前の呼気中アルコール検査で酒気帯びにもならないわずかな数値が出たことを口実として、分会長を一発解雇した。現在、群馬県労働委員会に救済を申し立てて闘っている。副分会長に対しても7日間の停職をはじめとする連続的懲戒の攻撃、休日出勤はずしの兵糧攻め攻撃、「会社に残りたければOと話をするな」という群馬バス労働組合の許しがたい分断・孤立化攻撃などなど。
 この中で、7月10日T組合員のあらたな加入通告を行い、会社に強烈な打撃を強制している。
 とんでもないことが明らかになった。Tさんの群馬合同労組加入を恐れていた会社は、この4月からの雇用契約書の「誓約事項」に、「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体を結成し、又はこれに加入いたしません」「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体の傘下、下部組織又は影響下にある組織に加入いたしません。またそれら組織の構成員又は支持者と契約行為はもとより、関与、接触いたしません」という文言を追加していたのだ。群馬バス労働組合や交通ユニオンが「会社に残りたければOと話をするな」と触れ回ったのは、これだったのである。許さない。絶対に勝利してゼネストを切りひらく。