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闘う合同一般労組 緑風園分会の闘い、組織拡大の取り組み

月刊『労働運動』34頁(0331号13/01)(2017/10/01)


闘う合同一般労組
緑風園分会の評価制度導入との闘い、組織拡大の取り組み

大沼 千世暁(ちよあきら)(ふくしま合同労組 緑風園分会)

 私の勤める養護老人ホーム 桑折緑風園が民営化され、社会福祉法人・緑風福祉会になり6年。そして、ふくしま合同労組 緑風園分会も結成してから6年になります。
 2011年4月1日、施設は東日本大震災の影響を受け、ゴタゴタの中、民間資本が緑風園に乗り込んできました。民営化による大幅賃下げ(時給にして1100円から750円に)、人員不足による強労働が強行され、新施設長は「俺がルール」だと豪語し、私物的に施設を運営し始めました。気に入らない職員や、年輩のベテラン職員への不当人事や日常的なパワハラを行っていました。そして、1年足らずで十数名の同僚が辞めていく事態になりました。
 ふくしま合同労組緑風園分会の結成は、民営化後の2011年7月でした。結成までの過程では十名程の同僚と話を進めていましたが、「施設長ににらまれる」「そこまでは」などの理由で、最終的には2人での分会結成です。
 その後すぐさま団体交渉を構えようと、同僚に意見を求めます。その時に同僚に言われたことは「波風を立てないでほしい」「団体交渉はやめてほしい」という言葉でした。やむなく団体交渉を延期し、翌2012年10月、分会は再び団体交渉を構えます。更なる退職者が十名を超えている中で、団体交渉に反対する同僚は一人もおらず、10月1日に組合通知、団体交渉申し入れを行いました。
 その後、分会は団体交渉を重ね、絶対反対の立場に立ち続ける中で、同僚たちは資本との非和解性を感じ始め、給与や待遇の不満など言えるものではなかった職場環境が、同僚の口から「現場は私たちが回している」と聞けるほどに変ってきました。
 当時、法人は自己評価を手始めに「評価制度」の導入を狙っていましたが、力関係で労働者が押しており、施設長は職員会議でつるし上げられ、会議には出られず、施設長室に閉じこもる日々が続き、2014年11月に職場を後にします。
 その後に着任したのが現在の施設長です。会計事務所勤務が長く、介護現場の経験は全くありません。「ここの施設は職員が多い」「プロ意識が足りない、欠けている」「年休取得率25%は多い」「希望休の中身について調べます」などと言い、病気で休めば「診断書を提出しろ」、挙句の果てに、職員に対し「欠陥商品はいらない」「貴方の様な人を飼っている余裕はない」「俺のやり方についてこれない職員はやめてもいい」等々と言い放ったのです。到底福祉施設の長とは思えません。
 この施設長との現在の攻防の焦点が、再び導入を狙う「評価(キャリアパス)制度」です。
 昨年度から、施設長は職員会議で「評価制度」の導入について、「私は何一つ得するものではないが、皆さんの給料を上げるため」「給料が上がらなくても良いなら別にやらなくてもいい」「反対意見もあるが導入するか否か皆さんに委ねる」と提案口調。しかし、「2年後には就業規則を全面改正、年功序列の賃金規程も廃止する」と明言しています。就業規則等の変更には労働者代表の意見が必要。その意見を求められるのは私です。法人は、「評価制度」に絶対反対する分会や労働者代表(6年継続)である私を、「評価制度を導入すれば皆さんの給料が上がるのに、それに反対しているのが組合だ」と、悪者に仕立て上げようとしています。評価制度で私たちの賃金は上がりません。評価制度が、労働者の団結破壊、組合潰しであることを明らかにしていかなくてはなりません。
 施設長は、導入を職員に委ねるとしながらも、今年度より、管理職を招集しプロジェクト会議を開始しました。そこには、金をかけてまで、わざわざ東京虎ノ門から厚労省の天下りの労務士を招き入れています。「職員に委ねる」なんてウソだ! 本気で導入しようとしています。その労務士が講師となる、キャリアパス制度構築のための「人間力向上研修」に全職員が参加することを、わざわざ就業規則を改正してまで強制しています。プロジェクトの進行過程で、これまで全職員に、アンケートと称し、「仕事しらべ」(職種ごとに必要な能力を明確にするため、各々の業務の書き出し)、「望まれる職員像」「職員のあるべき行動・努力」と題したレポート提出を義務付けてきました。
 レポート提出は評価制度の構築に加担するものであり、分会は提出を一切拒否しています。私は上司に、提出は「業務命令だ」と言われました。施設長は「業務命令違反」の連発で、分会の解雇を狙っています。その一方で、上司は、先日、就業時間中に法人理事長とテニスを楽しんできたのです。それは業務命令で行ったのですか。施設長に取り込まれた職員は、「良い」も「悪い」も判断がつかなくなっています。
 資本との関係で、分会が絶対反対の立場に立ち続けることが大事です。職員会議で赤字の原因を職員の責任にするものならば、黙っていることは絶対ありません。

 職員会議は、同僚全体に対して絶好のオルグの場です。2015年8月の職員会議で、一人の男性職員が、1時間以上、入所者さんをポータブルトイレに座らせたまま食堂に行き、食堂でのカラオケクラブの業務をしていたことがインシデント(事故につながるもの)とされ、男性職員の責任にされ、見せしめにされようとしていました。「すいません」と皆の前で頭を下げる男性職員の姿を見て、「インシデントは男性職員の個人の責任ではない。それは全ての職員にありえること。人が足りない。人が足りていたら、クラブ見守りに別の職員が配置できたはず。いつまでも人員補充しない法人に責任がある」と分会で訴えました。施設長は、黙ったままでした。男性職員は、その月の労働学校に参加し、その場で組合に加入しました。
 「事故は会社の責任だ!」分会の頭に常にあるのは、動労千葉の船橋事故闘争です。分会は、ひとりの労働者への攻撃も絶対許しません。法人との闘いは、理屈ではありません。力関係です。「評価制度」を阻止できるのも、同僚との団結、組合の拡大にかかっています。
 全力で闘っていきます。