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ひめじょおん―女性部から 東京での保育民営化反対署名の取り組み

月刊『労働運動』34頁(0331号14/01)(2017/10/01)

ひめじょおん――女性部から
青年労働者も「保育署名」に応じる―東京での保育民営化反対署名の取り組み

大谷 京子(東京北部労組交流センター)

★保育民営化反対は総資本との対決 

 小池百合子都知事の特別顧問である上山信一が、待機児童問題について「保育が福祉の中に取り残されてしまったせい」と言っていると聞き、私は「よっしゃー!」と快哉を叫びました。
 保育労働者と保護者が、措置制度廃止攻撃と闘い、保育予算の一般財源化など様々な攻撃にやられはしたものの、民主党政権下での「子ども・子育て支援新制度」実施までは、なんとか福祉制度としての骨格を維持してきたことに、支配階級は歯ぎしりしていたのです。
 国鉄分割・民営化攻撃に対する1047名解雇撤回闘争が、中曽根の思惑を打ち破って改憲を阻止してきたように、保育労働者の戦闘性が「お座敷をきれいに」させなかった! だからこそ今、「待機児童対策=大民営化攻撃」がかけられているのだと思います。
 「保育の民営化反対」は、資本主義の延命をかけた国家戦略との対決であり、戦争絶対反対の闘いでもあります。「戦争か、革命か」の時代認識のもと、私たちの未来を切り拓く闘いとして、大きな視野で取り組んでいきましょう。

★民営化前提の新設に怒り

 私の職場である東京都北区でも、保育の民営化が進行しています。昨年5月、年度内の10月に公立の園を新設すると突然の提案があり、しかも1年半の任期付き職員を募集するとの計画に、現場の怒りが爆発しました。1年半後、民設民営の園が建つまでのつなぎだというのです。そんな短期の募集に人も集まらず、他の園から一人ずつ保育士を異動させ、再任用職員まで声かけして開設。入所希望の子どもの数も少なかったのでなんとか乗り切ったそうですが、当局が保育の現場にあまりにも無知・無理解で、150人での団交は沸騰したようです。結果、4月新規採用者80人のうち11人が、1月に前倒し採用となりました。つい先日まで、その民設民営の保育園の保育士募集ポスターが、もよりの駅構内に掲示してありました。労働条件の詳細は未記載でしたが、人材は集まったのでしょうか。

★独身寮が民間保育園に

 その保育園の土地は、老朽化のため解体した区役所の独身寮の跡地です。現在、独身寮は廃止されました。1万5千円ほどの家賃で、低賃金の青年にはありがたい福利厚生施設だったのですが、待機児童対策に回されてしまった形です。
 都内や通勤圏でアパートを借りると、家賃は6万~7万円。採用3年目の青年でも、奨学金と家賃を払うと、貯金どころか、食う以外何にもできないと言います。「寮があればなぁ」という青年に、寮の跡地が保育園になること、民間が保育園を建てれば国の助成が受けられ、公設だと区の持ち出しになるため民営化が進むことなど説明したら、驚いて「保育署名」をしてくれました。
 民営化との闘いこそ、子どもたちと青年がいきいきと生きられる社会の建設そのものです。保育署名で、「民営化は悪!」の闘いを組織していきましょう。