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11・5労働者集会・改憲阻止1万人大行進へ 田中 康宏

月刊『労働運動』34頁(0332号02/01)(2017/11/01)


11・5労働者集会・改憲阻止1万人大行進へ! 田中 康宏


―戦後史の最大の分岐点における11月労働者集会

田中 康宏(国鉄千葉動力車労働組合委員長)

 衆院選挙と一体で11月集会を成功させたい。
 先日、関西生コン支部に共謀罪型の家宅捜索が入った。協同組合運動が前進している和歌山で、暴力団が介入した衝突の中で組合員2人が救急車で運ばれる事態になった。それを逆に関生支部が暴力事件を起こしたかのようにして、不当な家宅捜索が行われた。近畿トラック支部は三百数十日のストライキを敢行している。組合員が社長の息子の関係するヤクザに襲われ、それに対して組合員がストに入ってもう1年近くになる。
 労働組合を組織したらこういう闘いができる。それができたら、戦争・改憲反対の闘いは持続性を持ち、力を帯びたものになる。そういうものを11月集会でつくりたい。
 先日、電通の過労死裁判の判決が出た。怒りが収まらない。わずか罰金50万円。労働者の命が本当に軽々しく扱われている。資本家は人を殺しても50万円で済む。こんな社会は許せない。ニュースの映像で、夜10時に電通のビルの電気が一斉に消えるところを流していたが、10時までは全部の窓に電気が点っている。これが働き方改革だ。今の社会で戦争と一体で進む、うそとペテンへの腹の底からの怒りを爆発させて11月集会を成功させたい。福島も沖縄も全部そうだ。自分自身の怒りに火をつけることが大事だと思う。
 3労組も国鉄闘争全国運動も、11・5集会をこれまでのすべての歴史をかけてやりぬきたい。そこに皆さんの力の結集をお願いしたい。

●第2回実行委員会以降の経過

 改憲阻止1万人大行進の協賛団体会議を開催した。臨時国会の開会日には国会前闘争を闘った。多くの方々に協力していただいて、1万人大行進のポスターもできた。労働法制改悪についてのリーフレットもでき、11月4日の国際連帯集会のチラシも完成した。動労千葉だけではできなかったことだ。
 今、連合が安倍に手を突っ込まれ、今度は小池に手を突っ込まれて崩壊過程にある。電力総連は自民党支持を決定した。UAゼンセンは自民党と希望の党の支持を決めた。現場労働者の怒りを無視して、幹部が勝手に決めている。その連合の崩壊が始まった。この時が闘う労働運動をよみがえらせるチャンスだ。連合傘下の組合員、自治労や日教組の組合員に、「これでいいのか、労働組合が改憲と戦争の旗を振ろうとしている、これが進められるのを許すのか、労働組合の本当の姿を示そう」と訴えるリーフも作っている。
 国際連帯については、海外からの参加者が確定している(5~6頁参照)。

●11月集会の意義について

 情勢が激しく動く中での11月集会―改憲阻止1万人大行進の意義について改めて確認したい。戦後70年、労働運動の歴史の中で最大の分岐点にわれわれは立っている。改憲が具体的政治日程に上った。朝鮮半島での戦争の危機が迫り、マスコミも12月に軍事行動がありうると言う切迫した状況だ。われわれが歴史の主人公として登場しなければならない。われわれは戦争を止めるために、人生をかけて全力で立ち向かってきた。われわれにはそれができると確信している。11月は、歴史を分かつわれわれ自身の決意表明だ。歴史がここから動くものとして11月集会をやらないと、やる意味がない。
 解散総選挙の持つ意味について。安倍が解散総選挙に訴えたら、権力欲の権化のような小池が張り合って、反動が競い合っている。これは武力を使わないがクーデターに等しい。単なる解散総選挙ではない。安倍は何のために解散したのか。森友・加計問題などで追い詰められてやった。小池はもっとうまくやっていれば、小池待望論が盛り上がって選挙に出ようと思っていた。しかしそうはならない。身から出たさびだ。労働者を甘く見ていた。全部が失敗している。しかし、だからこそすべては「国難突破」と称して改憲・戦争に向かう。朝鮮半島の危機を徹底的に利用する。
 私が特に注目したのは、民進党の一夜にしての崩壊だ。民進党はどうしようもない政党だが、百数十の議席を持つ政党が一夜にして崩壊するのは、戦争に社会が飲み込まれる時にしか起きないことだ。
 われわれに何が求められるか。労働者がスクラムを組んで、「ふざけるな」と言って力ある存在として登場していないことが一番の問題だ。フランスでは労働法制改悪に対し40万人がゼネストに立った。スペインではカタロニアの独立闘争が闘われている。われわれが立ち上がるきっかけをつくることが求められている。
 11・5集会はトランプが来日し、6日に日米首脳会談が行われる渦中での闘いになった。これはいいことだ。アメリカの代表団が11・5に来るのは、トランプ訪日に黙っていていいのかが議論になったからだ。日米首脳会談は一般的な会談では終わらない。ティラーソン米国務長官はすでに中国に行った。日米首脳会談で、朝鮮半島での戦争の問題が具体的に煮詰まった形で話されるのは間違いない。
 その準備としてJアラート、まるで空襲警報を発するようなことが起こっている。もう戦争が始まっているという意識をつくり出すような大本営発表が始まっている。
 これに対して日韓米の労働者が集まって声を上げる。11・5は歴史的に大きな大きな位置を持つ集会になる。韓国と3労組で協議し、日韓米の労働者が、戦争に絶対反対し絶対に止めるという声明文を作って世界に発信したい。
 改憲について、もう一度われわれは改憲阻止の決意を新たにしたい。小池も9条改憲を打ち出した。各党首の討論会で、安倍は憲法9条に自衛隊保持の条項を入れた上で、シビリアンコントロールも入れると言った。小池はこれで一致できたと言った。総選挙後、改憲は一気に動き出すと見なければいけない。
 しかし、この激動はチャンスだ。国鉄分割・民営化以降、労働運動が後退してきた関係を覆し、反転攻勢に出る。その中心にわれわれが座る。
 2020年新憲法施行という安倍の攻撃に対し、われわれが力を持って改憲・戦争絶対反対の怒りの声を結集できる存在として登場する。すべてを国会議員の数だけに持っていき、戦争を止めたいと怒りをもって結集した人びとを絶望させ、その力を雲散霧消させるのではなく、持続的に改憲・戦争に反対し続ける運動体をつくりたい。それができる情勢が来た。
 われわれはこうしたことを訴える資格を持っている。国鉄分割・民営化に反対し、30年闘ってきたからだ。国鉄分割・民営化は戦後最大の改憲攻撃だった。中曽根が言ったとおり「立派な憲法を安置する」ために分割・民営化をやった。30年間、改憲をさせない闘いをわれわれはつくってきた。われわれ自身は小さくても、国鉄分割・民営化反対の闘いに多くの労働者が集まったからこれができた。そして今、敵の側の危機が深まり、ついに改憲に踏み切った。この時のためにわれわれは陣地を守ってきた。その陣地から打って出て、怒りの声と結びついて反転攻勢に出る。
 11月集会は98年5・28反動判決を機に始まったことに大きな意味がある。11月集会は、関生、港合同、動労千葉の3労組が呼びかけている。それが力の源泉だ。関生も港合同も、労働運動の後退の中で新自由主義の攻撃をはねかえして闘いを発展させてきた。3労組はそれぞれ別の分野を担っているが、それぞれが労働運動の可能性を開いてきた。これを再確認したい。
 連合の問題について。解散前に安倍が連合に手を突っ込んだ。UAゼンセンは安倍が第1次政権の時から育成してきた、連合と自民党を直結させる勢力だ。安倍は「残業代ゼロ法」で秘密合意して、連合全体に貫徹しようとした。あまりにひどいので連合に内紛が起きて粉砕された。これは連合全体を改憲推進にするためのものだった。UAゼンセンは大会で9条改憲を方針決定した。しかし、連合全体を改憲翼賛にすることには失敗した。それが解散の最後の引き金を引いた。
 今度は小池が連合に手を突っ込んで民進党崩壊の引き金を引いた。小池と前原と神津が会談した。労働組合がこれほどなめられたことはない。神津は後から「話が違う」と言ったが、そうなることは明らかだった。連合はぐちゃぐちゃになった。すべて連合が「現代の産業報国会」になる過程で起きている。
 この状況の中に現場の労働者がいる。連合傘下でも、地方ではまじめに労働運動を担っている。沖縄では基地に反対して闘っている。「自分が人生をかけてきた労働運動はなんだったのか」という怒りの声が上がれば労働運動は変わる。自民党や小池に翻弄されて、労働組合がぶざまな姿になっていることの行き着く先は、改憲翼賛勢力になることだ。それを職場で訴え、戦争を止める力にしないといけない。一番求められているのは労働運動だ。それを自覚して職場に入っていく。この闘いを全力で進めたい。
 「働き方改革」「生産性革命」の名で、戦後労働法制の最後的解体が進められている。
 臨時国会の冒頭からこれが問題になるはずだった。起きているのは戦後労働法制、労働基本権など労働者の権利の最後的解体だ。電通の現実が示している。
 これは法だけの問題ではない。動労千葉の経験からしても大変なことが起きている。2018年の労働契約法による無期転換を機に、東大などでは非正規の非常勤教員を何千人もクビにする。これが全産業で起きている。JRのグループ企業には数十万人の労働者がいる。その中のCTS(千葉鉄道サービス)は数百人の会社だが、一旦全員を解雇しようとした。「幹部として生かしていける者だけを新規採用」と言ってきた。われわれが反対の火をつけたら職場は燃え上がった。就業規則改定は粉砕され、選別―新規雇用は全部削られた。1年半闘って、「65歳まで働く意思を表明したら選別はしない」と会社に言わせた。今年上半期の通知では、全員が無期転換になった。下半期で選別してきたら直ちにストに入るつもりだ。これが全産別で起きている。今年度末だけで450万人が選別にかけられる。6千万労働者の1割がその対象だ。
 CTSでは無期転換をかちとったが、賃金は法定最低賃金だ。最低賃金の「正社員」が膨大に生まれる。その雇用に対する破壊的作用は尋常ではない。
 働き方改革関連8法案の中には、個人請負にしろという中身も入っている。雇用関係はなくす。そこまで雇用が破壊される。 新自由主義30年で、社会の総崩れが起きようとしている。労働生産年齢人口が毎年100万人減っていく。
 これは自然現象ではなく、新自由主義がもたらしたすべてが崩れる攻撃だ。非正規労働者は結婚もできない。地方は破壊し尽くされ、人が生きられない現実になっている。100万人の労働生産年齢人口の減少は、生まれないという形での大量虐殺だ。その時に「生産性革命で突き進め」というのは、かつて大本営が戦争で敗退している事実を隠して「進め、進め」と言ったのと同じだ。1年で500校の小中学校がつぶれている。地方では子どもが学校に通えない。待機児童や保育の問題が言われるが、これだけ人口が減っているのだから保育施設が余ってもおかしくないのに、足りなくなっている。医療、保育、教育がつぶされた結果だ。すべては労働運動の問題だ。この現実に怒ることが大事だ。
 館山での内房線切り捨て反対の闘いを通して現実が見えてきた。館山やその周辺の自治体では、動労千葉が訴えた内房線切り捨て反対の署名が市庁舎などに置かれている。それほど深刻な状態があるからだ。内房線と地域を守る会の会合には毎回、新聞記者が参加している。国鉄分割・民営化以来の新自由主義による惨憺たる現実、人間が生きていくすべてが破壊された。それが戦争と一体で起きている。人間が生きるすべを取り戻すのは、労働者の団結と闘い以外にない。
 国鉄闘争について。第3の分割・民営化が起きている。現状はひどい。鉄道業務をすべて別会社にする。10月14日のダイ改は水戸支社が焦点だった。特急の車掌は、運転担当と検札担当の2人いるが、それを1人にする。不正乗車はどうでもいいということだ。これで水戸支社だけで20人が浮く。運転士には基地から列車を出したり入れたりする作業がある。出区の場合は点検があるから1時間かかる。入区も30分かかる。その作業を外注会社に業務委託して、運転士は本線だけ運転するようにする。これがやられたら佐川急便と同じになる。これに対して怒りの声が起こって、JRは全部撤回した。これは分割・民営化体制を突き崩す問題にできる。
 動労千葉組合員はこの数年で大部分が60歳を迎える。CTSなどに行くことになる。そこに業務を外注化する。ならば、そこで過半数を取ってやる。そうしたら外注化などできるのか。これまでのことすべてをひっくり返せる条件が生まれている。
 社会全体もそうだ。医療や教育がここまで破壊された。労働組合がちゃんとしていれば、ひっくり返す闘いが始まる。

●11月集会へ全力の取り組みを

 解散総選挙で事態は鮮明になった。斎藤いくま君が立候補した。20代の若さの彼が立ったことは、未来の可能性を開く意味を持っている。総選挙情勢に対する回答はどこにあるのか。斎藤君以外に投票できる候補がいない中で、総選挙に対するもうひとつの回答は11・5だ。労働者の荒々しい闘いが必要だ。一昨年の安保戦争法国会の時は、職場の怒りと結合しなかったから、国会前の怒りの声が雲散霧消させられた。職場の労働者の団結が政治闘争に高まったら、その政治闘争は力を持つ。11・5をそのきっかけにしなければならない。総選挙の大反動への回答は日比谷にある。
 賛同オルグ、チケット販売に全力を尽くしてほしい。これが集会財政の基盤になる。
 問題は総選挙後だ。雪崩を打って事態は動く。そう覚悟を決める。だから闘いの継続について議論したい。2020年までにわれわれが力を持って登場する、そのために11・5労働者集会の1万人結集をよびかけます。(10月13日の第3回実行委員会での発言より)