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『国鉄分割・民営化と闘って30年 労働運動の変革をめざして』を読んで 泣くほどかっこいい

月刊『労働運動』34頁(0336号11/01)(2018/03/01)


『国鉄分割・民営化と闘って30年 労働運動の変革をめざして』を読んで
やばい、泣くほどかっこいい! 団結めざし闘う!


織田 翔子(自治体労働者)
 やばい、泣くほどかっこいい。こんな陳腐な言葉しか浮かんでこないくらい、一言では言い表せない感動と敬意が、読了後の率直な感想です。中でも、船橋事故闘争とシニア制度粉砕の闘いには、改めて心を揺さぶられました。胸の熱くなるような義理人情、丁寧な人間関係、「こういう闘いがやりたかったんだ」と労働者が立ち上がるゾクゾクする景色。そういう具体的実践の中から作られた動労千葉労働運動の、新自由主義攻撃への認識とそれに対峙できる路線。この時代におけるその歴史的価値を全身に浴びた感じです。
 それまでの労働運動が新自由主義の攻撃に対して受動的にしか対応できず、「『反対派』として声を上げることは比較的容易でも、自立した独自の運動を成立させることがどれほど困難」かということに対して、「職場にはこれだけ怒りの声があって闘いの方針を求めていたことは事実」「それを団結させて労働者自身の力に変えていく道がなかったはずはない」「路線的な対立や衝突が生じたとき、それを徹底的に組織をあげた議論として組織し、具体的な行動にしていく」と、動労千葉は実践でこれを証明したことが語られている。今、改憲・戦争阻止、反原発、労働運動の現場で、すべての戦線において求められている実践がここにあると感じました。
 自分がアメリカン・アパレル闘争において敗北と勝利と総括したことは、現場との団結の問題に帰着するものでした。有給休暇付与や給料遅配・誤配の是正など当たり前の権利の要求から始まり、拠点職場の閉店絶対反対、分会長の解雇撤回、正規職化要求、団体交渉、ストライキ、デモ…。闘えば闘うほど、組合に関心をよせる人は増えたし、組合員も少しずつ増えました。それでもやればやるほど不安になったのは「団結し足りないのじゃないか」ということ。実際、忙しさを理由に議論が足らないまま放置していた事案では、資本側に不団結を見抜かれて負け負け。逆に、時間のない時は分会長自宅で鍋パーティーをして仲間と議論したり、書面作りに組合員と徹夜作業もした解雇撤回闘争は、都労委の勝利命令、原職復帰まで実現させた完封勝利でした。「団結はいくらしても、し足りないもの」だからこそ常にそこを目指して次の闘いをつくることができるんじゃないか…と今は思います。
 動労千葉がシニア制度粉砕を闘ってCTSに組織拡大した実践があったからこそ、私たちは全員非正規の職場で「非正規職撤廃」を掲げて闘うことができました。「闘いが次の闘いの条件をつくる」ことこそ階級的労働運動の核心だと思います。一つひとつの具体的な闘いの中で、現場の仲間が肌で感じとっていくもののみが団結をつくり、仲間を増やし、次の闘いにつながってゆく。こんなにわくわくする経験は他ではできない。「どんな困難にあっても、団結を作る道がないはずはない」と動労千葉が言ってくれるなら、すべての闘いの歴史の上に立ち、めちゃくちゃ明るく人間らしく生き抜く闘いを、今の職場と反戦・反原発の仲間と一緒に、作ってやろうと思います。