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労働組合運動の基礎知識 第46回 コンビ二加盟店の店長は労働者か

月刊『労働運動』34頁(0341号12/01)(2018/08/01)

労働組合運動の基礎知識 第46回
コンビ二加盟店の店長は労働者か否か

コンビ二加盟店の店長は労働者か否か


 2014年3月13日に岡山県労働委員会は、セブンイレブンの加盟店ユニオンの団体交渉を拒否したことに対して、コンビニ加盟店の店長の労働者性を認め、労組法7条2項の団交拒否にあたるとの命令を下した。2015年3月17日には東京都労働委員会が、ファミリーマートがコンビニ加盟店ユニオンの団交を拒否したことに対して、その労働者性を認め、不当労働行為の救済命令を出した。現在その二つの命令が併合されて、中央労働委員会で争われている。
 今回、両方の命令を熟読して、その核心がどこにあるかをつかんだ。今、安倍政権が働き方改革関連法を強行採決し、「雇用でない働き方」を促進していく攻撃をかけてきている。「雇用関係でない働き方」というのは、これまでの雇用関係を個人事業主と資本の関係に変えて、労働基準法や労組法の適用しない「働き方」を増やす攻撃である。
 岡山県労働委員会と都労委が、加盟店店長を労働者と規定した根拠は何か。「労組法は、使用者と経済的に対等な立場に立つとはいえない労務供給者について、労働組合を結成し使用者と団体交渉を行うことによって、労働条件等の対等決定を図ることを促進することを目的としている(同法第1条)。この労組法の趣旨及び性質からすれば、同法が適用される『賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者』(同法第3条)に当たるか否かは、契約の名称等の形式のみにとらわれることなく、その実態に即して客観的に判断する必要がある」(上記都労委命令)。
 簡単に言えば、セブンイレブンもファミリーマートも「フランチャイズ契約」の形式をと
って、「加盟店店長は個人事業主として契約しているのであるから、労働者ではなく個人事業主であり、個人事業主の労働組合は労働組合でないから団体交渉に応ずる必要はない」との理由で団交を拒否したが、労働委員会はあらゆる角度から総合的に判断して、加盟店店長は労組法上の労働者であると認定し、彼らの労働組合を労組法上の労働組合として認めたのである。
 ここで問題になるのが、労働基準法上の労働者の定義である。労基法9条は「この法律で『労
働者』とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下『事業』という)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と書かれている点だ。労組法は「使用される者」か否かではなく「賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」が労働者であると規定し、名ばかり店長のような場合は、紛れもなく労働者であり、労働組合を組織して闘う権利があることを認めたのだ。
 加盟店店長は、毎日の業務遂行において、店舗経営・運営の細部に至るまで会社の指示どおりに行動することが要請される。そして、年中無休・24時間の時間帯で業務を遂行しなければならず、その場所と時間の変更は許されないのであり、加盟店店長は会社の指揮監督の下に労務を提供している労働者と認定した。この視点は、安倍の「雇用ではない働き方」と対決していく上で重要な論点である。

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)