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闘う合同一般労組 第一交通武蔵野闘争 暴力労務支配を許さない闘い

月刊『労働運動』34頁(0321号06/01)(2016/12/01)


闘う合同一般労組
※第一交通武蔵野闘争※
暴力労務支配による労働条件不利益変更を許さない闘い

労働条件の不利益変更を許さない闘いから始まった

 第一交通武蔵野(株)は、タクシー保有台数日本一である第一交通産業(株)の100%子(孫)会社で、東京都武蔵野市に本店があります。私たち多摩連帯ユニオン第一交通武蔵野分会は「労働条件の不利益変更」に絶対反対の立場を貫き4回の団体交渉を会社側と積み重ねています。
 昨年12月、前タクシー会社を買収した第一交通は、賃下げや締め付け強化、労働組合敵視の新たな就業規則に改定しようとしました。その際、今年3月4日にAさんを労働者代表に代わる「総班長」に任命して意見書をでっち上げ、新たな就業規則を労働基準監督署に提出しようとしました。Aさんは明白な労働条件の不利益変更に断固反対し、新就業規則への意見書への署名を拒否しました。このような労働者代表選出方法(会社の任命であり、職制が労働者代表となること)は無効であり、労働条件の不利益変更は違法です。会社側はAさんを総班長から解任し、意のままになる人物を総班長に任命して就業規則改定を強行しようとしました。
 労働基準監督署などの行政窓口、日本共産党系弁護士や全労連傘下の労働組合に相談していたAさんは、この過程で多摩連帯ユニオンと出会いました。そして、組合との徹底討論を行って路線的に一致し、多摩連帯ユニオンに結集し、階級的立場に立った職場闘争を開始しました。
 分会ニュースの発行、職場でのオルグ、労基署からの指導を引き出すことで、労働者代表選挙を2回にわたってやり直させるなど、「労働条件の不利益変更を許すな!」をスローガンにして闘い、違法不当な就業規則改悪に反対し、会社を追及しました。

暴かれた会社・業界の実態

 この中で会社の異様な実態が明らかになりました。①賃下げをごまかすために月々の賃金として「一時金」を分割して支給し、これを「借金」とする違法行為、②会社への負債を賃金から天引きする違法行為(タコ部屋支配)、③会社側に不満を持つ労働者を威圧・ 暴行する違法行為、④会社側の意に沿う労働者へ賃金面で優遇するという違法行為等々。
 原則的な組合の闘いに追い詰められた会社は、系列会社などから暴力労務対策要員を呼び寄せ、分会ニュースの配布・受け取りを制限するなど、労働者への弾圧、組合活動への妨害・介入を強めました。職場内での労働者の獲得合戦が始まったのです。
 この中で会社の暴力労務対策要員同士の抗争が始まり、暴力労務支配は内部から崩壊を始めています。新たな情勢を私たちの闘いで引き寄せたのです。
 タクシー業界では、以前から脱法的に「完全歩合制」という事実上の成果主義・残業代ゼロの賃金体系が実施されていました。退職金や各種手当などの福利厚生も全くない状態でした。多くのタクシー労働者はひどい労働条件の中で働き、全職種中有数の離職率の高い職場となってきました。
 タクシー労働者の労働条件が根本的に向上したことは一度もありませんでした。度重なるタクシー料金の値上げの際に乗務員の待遇改善がうたわれましたが、賃上げをした会社はありません。それどころか、各事業所の子会社化・孫会社化が行われ、労働者の団結が破壊され、労働条件の不利益変更を容易なものにしてきたのです。
 こうした労務政策の結果、他の業種に比べて異常に長い労働時間と現役有病率・死亡率の異常な高さという、まるで19世紀の工場法成立以前のような労働条件に叩き込まれています。今やこのような労働条件に、あらゆる職種の労働者が叩き込まれようとしています。いわばタクシー労働者は労働法制改悪の最前線に立たされ続けてきた、と言えるのです。

拳銃事件や暴力労務支配をはねのけ、社前闘争を貫徹

 本年11月3日、Aさんを先頭とした組合員、北部ユニオン、西部ユニオン、東部ユニオン、郵政非正規ユニオン、日本機械工業労組などからの支援の25人が結集し、会社の不当な業務命令と異様な暴力労務支配の実態を弾劾する社前闘争を行いました。
 正午から武蔵境駅前で組合のぼり・11月集会のぼりを林立させ、ゼッケンを付けて、マイクでアジテーションし、分会ニュースと11月集会ビラを配布しました。組合への支援・結集を呼びかけ、さらに11月労働者集会・国際共同行動への参加を訴えました。
 その後、 駅近くの商店街にあるマンション一室に本店を構える社前に移動し、組合員の司会で幟・メッセージボードを掲げた決起集会を開始しました。
 集会は、アーケード通りの通行人に分会ニュース等を渡しながら進められ、書記長の経過報告、当該の決意表明を行い、拳銃事件まで引き起こした違法・不当な第一交通資本の暴力労務支配を弾劾して、組合への結集を呼びかけました。引き続き支援のタクシー労働者、地域の労働者、
全逓労働者などがアピールを行い、新自由主義政策による資本の強搾取・強労働を弾劾し、闘う決意を述べました。
 駅頭情宣・社前集会は、用意した分会ニュース500枚がすぐに無くなるほど、労働者・市民の関心は非常に高いものでした。この労働者の怒りに恐怖した会社は、組合活動妨害のため違法な写真・ビデオ盗撮を職制に行わせるなど、不当労働行為をまた積み重ね、わたしたちの怒りを倍加させました。
 集会の締めのシュプレヒコール・多摩連帯ユニオン副委員長によるまとめと団結ガンバロー、仲間たちの拍手と歓声に送られて、Aさんは就労に赴きました。
 今闘争はこの異様な暴力労務支配下で困難な組合組織化を強化するために取り組まれました。そして獲得したものは、Aさんを中心とした地域・産別を越えた団結と、確固とした階級的労働運動路線です。闘いはこれからです。さらなる支援・連帯を訴えます。
 石川正浩(多摩連帯ユニオン)