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地平線 沖縄でいま起こっていること

月刊『労働運動』34頁(0335号14/01)(2018/02/01)

地平線 ―沖縄でいま起こっていること

勇気をもって立ち上がった労働者の危機感がひしひしと響いてくる

―沖縄でいま起こっていること
 柿本 博人(沖縄労組交流センター)
 沖縄各地で米軍機事故が相次ぐ中、うるま市伊計島で1年間に2度も米軍ヘリが不時着したことを受け、伊計島自治会は1月21日、島上空の飛行禁止を要求する抗議集会を開いた。自治会が米軍に対する抗議集会をもったのは初めてだ。伊計島の人口は260人。「島は演習場ではない」と大書きされた公民館に約140人が集まった。

●子どもたちに「もう大丈夫だよ、空からは雨しか降ってこないよ」と言えるように行動していく

 この言葉は、12月29日、宜野湾市役所前で開かれた「米軍基地被害から子どもを守り、安心、安全な教育環境を求める市民大会」(写真)での知念有紀子さん(緑が丘保育園父母会副会長)の発言だ。県高校PTA連合会・緑が丘保育園、高教組、沖教組など6団体が呼びかけ、1週間で43団体の賛同が寄せられた。
 伊計島での米軍機事故の1か月前に、普天間所属のCH53E大型輸送機ヘリの部品が宜野湾市の緑が丘保育園の屋根に落下。その6日後には普天間第二小の運動場にCH53の窓が落下した。
 「伊計島で不時着」のニュースを聞いた緑が丘保育園の園長が「民間に落ちることが身近に迫っている気がして身震いする」と語った。それは、140万沖縄県民の抱いている恐怖感そのものだ。

●訓練は夜間に住宅地を標的に強行

 伊計島自治会の抗議集会で掲げられた「島は演習場ではない」とのスローガンは、米軍の訓練・演習の本質を鋭く暴くものだ。
 昨年12月13日の名護市安部でのオスプレイの墜落事故は、オスプレイの構造上難しいと言われる空中給油を、夜間に、しかも集落近辺で行う中で発生。また、昨年1月20日の伊計島でのヘリ不時着事故も夜間訓練の最中でのことだった。「島の上空を夜間に頻繁にヘリが飛んでいた」との地元住民の多くの証言がある。
 東村高江のヘリパッド建設は、わざわざ部落を取り囲むように配置されている。高江を「敵の支配地」と「見立てた訓練のためだ。兵士や物資のヘリ吊り下げ訓練も住宅地周辺を選んで行われている。戦争は、無人の野で行われるものはない。家を焼き、人を殺すものだ。この事実と現実が朝鮮侵略戦争の切迫であり、この現実に対し、勇気を持って立ち向かっているのが沖縄情勢の核心点だ。

●オール沖縄の破綻と労働者の新たな闘いの開始

 こうした沖縄情勢の新たな変化を先取り的に示したものが動労千葉物資販売だ。2か月間の売り上げは70万円を超えた。国鉄1047名解雇撤回・外注化阻止・非正規職撤廃の動労千葉の闘いが沖縄労働者の魂をガッチリ捉えている。
 翁長県政は「辺野古代替案は政府がやるべきこと」から「辺野古移設の代替案を提案する」に路線転換した。オール沖縄は、辺野古新基地建設阻止の具体的方針を何一つ出すことができない。その中で、労働組合が自らの行動で未来を開く闘いが始まっている。

(*お詫びと訂正 2018年2月号/誌面32頁、「伊江島」を「伊計島」に訂正いたします)