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5・1は労働者の日、メーデーに行こう!

月刊『労働運動』34頁(0349号02/01)(2019/04/01)


5・1は労働者の日、メーデーに行こう!


飯田 英貴(全国労組交流センター事務局長)

(1)労働組合の闘いがよみがえり始めている

 労働組合の結成やストライキが新聞やニュースで取り上げられ、大きな話題を呼んでいます。東京・練馬区で図書館専門員労組が図書館の民間委託に反対してストライキを構えたことが多数のメディアで報じられました。57人全員が女性で非常勤。自らの雇用問題と同時に「公立図書館を守りたい」という訴えが共感を集めました。
 また、バス運転手、関連労働者の過酷な労働実態の改善を要求した千葉・京成バスのストライキは、たった一人のストライキでしたが、SNS上で100万件に迫る反響が寄せられ、その多くがストライキを支持する声でした。
 さらに3月にはJRのダイヤ改正による労働強化や業務の外注化に反対し、千葉や茨城、神奈川、福島、広島、奈良などで動労総連合に加入する労働組合員が次々とストライキや抗議行動に立ち上がっています。それぞれが自らの置かれた劣悪な労働条件を告発し、やむにやまれぬ思いで闘いを開始していますが、これまでのような「会社と交渉して解決金をとって終わる」というようなあり方ではなく、職場に労働組合をつくって仲間と共に立ち上がり、自らの労働条件だけでなく、「契約社員を全員正社員にせよ」「子や孫たちに非正規だけの社会を残せない」とみんなのために立ち上がっていることが特徴です。
 「平成」の30年は新自由主義攻撃が吹き荒れた30年でした。非正規職労働者が大量に生み出され、労働者は長時間労働と低賃金に苦しめられ、いまや子どもの貧困までもが社会問題となっています。こうした状況に対して私たち労働者は「もう我慢ならない」と闘いに立ち上がり始めたのです。
 その点で今年の5・1メーデーはとても重要です。始まった闘いを集め、職場、職種を越えて団結し、労働者の持つ力を実感し、力をあわせ、5月1日メーデーを労働者のおかれた現実を変える、その新たな出発の日としたいと思います。

(2)今年のメーデーは特別な意味を持つ

 安倍政権は、閣議で現天皇の退位日を2019年4月30日と定める政令を決定し、翌5月1日に新天皇が即位すると表明しました。内閣府が出している政府公報は「5月1日 天皇即位の日 国民こぞってお祝いしましょう」などということが打ち出されているのです。
 冗談ではありません! 5月1日は1886年にアメリカ・シカゴで労働組合が8時間労働制を要求してストライキに立ち上がって以降、130年以上も続く全世界共通の労働者の闘いの日です。その日に天皇の即位をぶつけ、今後、5・1メーデーを天皇を祝う日にしようとすることは、労働運動への極めて政治的な攻撃です。絶対に許すことはできません。とりわけ日本の労働運動にとって天皇制問題は乗り越えなければならない重大な課題です。
 日本では1920年に初めてメーデーが闘われました。全国の製鉄所や炭坑、東京市電(後の東京都交通局)などあちこちで大争議、ストライキが始まります。ストライキで労働者が要求したのは人間として生きられるだけのものをよこせということ。それが大切なのは、労働者の権利は与えられるものではなく、自分でとる以外に実現しないと気づき、職場に労働組合を結成し、仲間と共に立ち上がり始めたことでした。闘いの勢いを増す労働運動に対し、1925年には治安維持法が制定されます。天皇主権の社会をつくるために共産党だけでなく、労働運動から市民運動まで幅広い運動が弾圧されました。
 こうした中で1935年が戦前最後のメーデーとなり、36年は戒厳令によって中止させられます。40年には「大日本産業報国会」が創立され、労働組合は全部解散させられ、41年には太平洋戦争が始まりました。文字通り労働組合が潰され、労働運動が解体されたときに戦争が現実のものとなったのです。労働組合破壊と戦争は一体の攻撃であり、その先頭に立ったのが天皇制でした。

(3)現代の産業報国会化を許すな!

 5月1日が労働者の闘いの日ではなく、天皇を祝う日とされるなら、それは現代の産業報国会化に他なりません。それは戦争への道です。
 いま、安倍政権は改憲に向かって労働組合を攻撃しています。労働組合のストライキが「威力業務妨害」とされ、のべ60人以上もの組合員らが警察によって不当に逮捕されている連帯労組関西地区生コン支部への弾圧。JR東日本は、昨年2月に社長が首相官邸に呼ばれ、「(2020年)五輪開催中のストライキはあってはならない。その前に組合を骨抜きにする必要がある」との命を受け、労働組合の解体・一掃に向けて動きはじめました。その結果、わずか数カ月のうちにJR東労組から3万5千人が脱退する事態が生み出されています。安倍政権が目指しているのは「労働組合のない社会」です。
 こうした事態を目の前にして、私たちは「二度と戦争を繰り返してはならない」という固い決意で、闘う労働運動の再生をかけて5・1メーデーに立ち上がります。
 その際重要なことは、戦前の労働運動が暴力や弾圧によって潰されたのではなかったということです。近代史研究家の伊藤晃さんは「労働運動の指導者・活動家の中から産業報国会を支持する者が生まれてきた」と述べています。「権力と企業の壁の前で労働運動の拡大は非常に困難であった。運動が敗北し、追いつめられて展望を失い、当事者には運動回復のための選択肢が皆無に等しいと感じられる中で出てきたものであった」というのです(伊藤晃著『戦争と労働運動』)。現実の困難さに負け、現場労働者の力に依拠するのではなく、別の力に依って権利を守る、そういう考えに陥った時に労働組合は内側から崩れ始めたということです。
 その意味で、戦前の歴史を乗り越えることは簡単ではありません。しかし、労働者の新しい闘いは間違いなく始まっています。労働者の団結で改憲はさせない! 非正規だけの社会を作らせない! そして韓国やアメリカをはじめ、全世界で立ち上がる労働者との国際連帯をかけて、今年の5・1メーデーは労働運動を力強く甦らせる新しい挑戦です。可能性は私たちの中にあります。メーデーへの結集を心より訴えます。

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5・1メーデー

●場所 銀座ブロッサム中央会館ホール(東京都中央区銀座2―15―6)東京メトロ有楽町線新富町駅徒歩1分

●13時開始(12時開場) 集会後銀座をデモ行進 誰でも参加できます

●主催 改憲・戦争阻止!大行進実行委員会

連絡先 千葉県千葉市中央区要町2ー8 DC会館 ℡043―222―7207