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県教委による教育現場への介入を許さない! 怒りの声続々

月刊『労働運動』34頁(0347号11/01)(2019/02/01)


県教委による教育現場への介入を許さない! 怒りの声が続々と!

(写真 改憲と戦争への道をとめる!12・16千葉県集会に135人が参加。講演する高島伸欣さん)

「改憲と戦争への道をとめる!12・16千葉県集会」に135人が結集

千葉労働組合交流センター

 12月16日、船橋市東部公民館において「『平和教育』つぶしを許さない! 改憲と戦争への道をとめる!12・16千葉県集会」が会場満杯の135人の結集でかちとられました。集会は教育労働者をはじめ多くの初参加者がおり、この間の運動の広がりを感じるものになりました。
 最初に主催者の「改憲・戦争阻止大行進運動千葉」を代表して呼びかけ人の井上実さんが「平和教育つぶしの闘いと沖縄・辺野古の実力闘争をつなげて、安倍の戦争政治をとめるために立ち上がってほしい」と呼びかけました。
 続いて、「沖縄から平和教育を問う」と題して、高嶋伸欣さん(琉球大学名誉教授)の講演が行われました。高嶋さんは高校の教員として、国を相手に教科書裁判や、沖縄県民と共に闘ってきたことから「沖縄は米軍の土地収奪と闘うことで、憲法を自分たちの手で獲得したという自負がある。基地のことを、本土でも一人ひとりに考えてほしい」「1995年の沖縄県民大会は、小学校の社会科教科書に写真入りで紹介されて検定で認められているもの。法律上も教育委員会は現場に介入する権限はなく、学習指導要領も強制力はない」と話されました。 
 続いて、県立高校勤務のA教諭は、1995年に起きた米軍の少女暴行事件に衝撃を受けて沖縄へ移住したこと、その思いを記載した修学旅行の事前学習プリントが校長によって回収され、県の教育委員会も国の通達を根拠にして内容を検閲したことを丁寧に報告しました。「自分の感情や主観が入っているからプリント配布はダメだというが、教員の思いを書くことがどうしてダメなのか」と問いかけ、「普天間基地は世界一危険な空港」という記述にまで「根拠を示せ」と修正を入れられたことを報告すると、会場から一斉に驚きの声が上がりました。
 その後、会場から教育労働者、地元の習志野市民、議員、船橋二和病院労働組合、公務職場の仲間、「とめよう戦争への道!百万人署名運動」などの発言がありました。最後に動労千葉から川崎昌浩書記長が「山手線の無人運転の導入に象徴されるように、JRの安全・組合破壊に対して動労千葉は全力で立ち向かう」と表明し、「動労千葉は日常的に闘いの方針と路線を確立するとともに、義理と人情の両方を大事にしてきた」と紹介し、共闘を呼びかけました。
 集会の最後に、もう一度呼びかけ人の井上実さんが登壇し、①今回の集会の報告集をつくり、平和学習つぶしとの闘いを全県下に知らせていく、②教育現場や民営化問題などを題材に連続講座を開始する、③通常国会での改憲発議をさせない取り組みを強めることを提起して、集会を終えました。

 今回は多くの新しい仲間を迎えて大成功しました。当該の教育労働者が屈せずに不当性を訴え続けたことを土台として、「プリント回収事件」圧殺をはねかえして全県的な問題にすることができました。「改憲・戦争阻止!大行進」運動は、その下支えを担えたと思います。
 ある訪問先の学校では、「高校の組合の問題をどうしてみなさんが問題にするのですか」という反応があったそうです。私たちは何度も議論を重ねて、現場の声をつぶしてはいけないという気持ちと、自分たちで小さくても戦争に反対する労働組合運動を一緒に作るという方針を練り、教員への「応援団」だけではないスタンスで、当日を迎えました。
 また、労働運動の再生の観点から考えると、「競争と愛国教育」攻撃下にある教育現場で、ついに労働組合・日教組再生の希望が見えたように思えます。国鉄分割・民営化攻撃と同じ時期の1980年代後半に、中曽根は臨教審を設置し、「日の丸・君が代」強制や愛国教育に力を入れ始めます。その最中の1995年に日教組本部は「文部省とパートナー」路線を打ち出します。そこから一気に組合の弱体化と非正規化が進み、勤務時間や夏休みなどの当然の権利は攻撃にさらされてきました。
 また、2010年4月9日の国鉄1047名解雇撤回闘争をめぐる「解雇撤回なき政治和解」は、国鉄闘争支援労組に大きな混乱をもたらし、産別を問わず民営化や非正規化を促進して今日に至っています。
 2020年東京オリンピックを挟むこの数年が、改憲攻撃との闘い、労組破壊との闘いをめぐって、労働組合運動にとって正念場です。
 今後は当該と共に、県教育委員会へ責任追及と謝罪へむけた行動を追求していきます。
 他方で、チャータースクールに象徴される公教育の民営化と愛国教育が加速していく中で、議論を積み重ねて力をつけていきたいと思います。
 (集会の内容は「日刊動労千葉」の記事を一部引用させていただきました)

(写真 12・16千葉教育労働者集会を報じた東京新聞)