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動労西日本に勝利命令―解雇は不当労働行為と認定

月刊『労働運動』34頁(0351号06/01)(2019/06/01)


動労西日本に勝利命令―解雇は不当労働行為と認定

(写真 5・25勝利報告集会)


元木 康亮(動労西日本広島メンテック分会員)

 広島県労働委員会は4月23日、10か月の調査、審理の後、JR広島メンテック会社が、2017年12月に行った動労西日本・元木組合員(新幹線車両清掃)への解雇は不当労働行為であると認定した。
 労働委員会は、「会社は1か月の有期労働契約期間中に、元木組合員が採用前にJRに批判的な組合ビラを配布したことを把握し、これにより元木組合員が組合方針に賛同し、組合活動に協力的な行動をしてきた人物であると認識した」「元木組合員を会社に引き続き雇用すれば、組合に加入し会社内で組合活動を行うことを懸念し、合理的といえない理由を付し有期労働契約の期間満了をもって会社から排除しようとしたものというべきであり、不当労働行為の意思を推認させる。したがって、次の有期労働契約を締結しなかったことは、元木組合員が組合に加入することを懸念したが故になされた不利益扱いであり、労働組合法第7条第1号の不当労働行為に該当する」「元木組合員を会社から排除しようとしたことは、組合の運営に影響を与え、組合の弱体化を企図するものと言い得るから、労働組合法7条3号の不当労働行為に該当する」との判断を示した。
 そして労働委員会は、「①職場復帰を希望する場合速やかに労働契約を締結すること。②次の有期労働契約の期間(2017・12・21~2018・3・31)に得られた賃金相当額を支払うこと。③『今後は、このような不当労働行為を繰り返さないようにします』という謝罪文を動労西日本に交付すること」という組合側全面勝利の命令書を出したのだ。
 動労西日本は解雇撤回に向け団交や抗議の門前ビラまき、記者会見を団結力でやり抜き、広島連帯ユニオンはじめ地域の労働者との共同で闘い勝利した。
 JRやメンテックの不当労働行為による解雇をめぐる公開審理は社会的に注目され九州他各県から労働委員会委員の見学傍聴者が10人と記者も参加した。
 改憲―戦争に向けた「労働組合のない社会=産業報国会」を作ろうとする安倍政権の最先兵として、JRが主導した解雇攻撃が白日の下にさらされた。
 JR西日本の悪徳弁護士らは、団結権を否定する「解雇の自由」を主張した。証拠として20ページもの「最後陳述書」を提出し、異例の「読み上げ」まで行う異常さだった。
 広島メンテックは約1200の労働者が働いている。そのうち、新幹線営業所は約180人、この3年間で1か月以内の退職者が50人以上も出る過酷な職場だ。超低賃金で、8割を占める非正規労働者は組合に加入すらできない。組合も正社員だけの労使一体の組合しかない。
 この職場の中に、民営化、外注化、総非正規化、労働組合破壊に反対してストライキで闘う動労総連合・動労西日本が存在することに、心底恐怖しての解雇攻撃だったのだ。
 「労働組合の団結の力で反撃すれば勝利できる!」。今回の全面勝利命令は、悔し涙を流している2000万を超える非正規労働者に、闘う労働組合と合流して闘えば勝てる希望と勇気を生み出した。動労西日本はこの命令を武器にして、JR関連の非正規労働者を組織し、動労総連合の組織拡大の闘いに立つ決意である!